




「自分がもし先に亡くなったら、大切なペットはどうなるのか」
この不安は、多くの飼い主が抱える切実なテーマです。特に高齢化や単身世帯の増加により、飼い主に万が一が起きた後のペットの生活保障が社会的な課題になっています。
そんな中、注目を集めているのが「ペット信託」という仕組みです。
この記事では、ペット信託の概要、料金相場、メリット・注意点を詳しく解説し、さらに終活の一環としてどう活用すべきかについても考えていきます。
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目次
第1章 ペット信託とは?目的と基本の仕組み
「もしもの時」ペットを守るための法的しくみ
ペット信託とは、飼い主が亡くなった後や介護などで世話ができなくなった場合に、ペットの生活を金銭的・法的に守る制度です。
信託というと難しく感じますが、簡単に言えば「自分の財産を信頼できる人や団体に託して、ペットのために管理・使用してもらう仕組み」です。
日本では近年、「単身世帯」「高齢飼い主」が増える中で、飼い主の死後にペットが行き場を失う問題が社会的な課題になっています。
ペット信託はこの問題を法的にカバーできる唯一の仕組みとして、注目が高まっています。
ペット信託の基本構造
ペット信託では、主に3者が関わります。
役割 | 内容 |
---|---|
委託者(飼い主) | 自分の財産の一部をペットのために信託する人 |
受託者 | 委託者に代わってペットの生活費を管理・支出する人または法人 |
受益者(ペット) | 実際に信託の利益(生活費・医療費など)を受ける対象 |
飼い主が亡くなっても、受託者がペットのために用意された資金を管理し、
預かり先(飼養者)や動物病院、トリミングなどへ費用を支払います。
ペット信託は「遺言」や「保険」だけではカバーできない「生前から死後まで継続的に守る」制度なのです。
第2章 なぜペット信託が必要なのか
ペットの「行き場問題」が深刻化
ペットの平均寿命は10〜15年。
一方で、飼い主の平均年齢も上昇しており、「飼い主の方が先に亡くなる」ケースが増えています。
特に単身高齢者では、
- 親族がいない
- 親族がペットを引き取れない
- 相続でトラブルになる
といった現実的な課題が多く、結果としてペットが保健所に送られる事例もあります。
こうした事態を防ぐために、ペット信託を利用することで、飼い主が元気なうちに「ペットの将来」を契約で守ることができるのです。
遺言・保険との違い
比較項目 | ペット信託 | 遺言 | 保険 |
---|---|---|---|
開始のタイミング | 生前から効力を発揮できる | 死後に効力発生 | 保険金支払いは死後 |
ペットへの直接支援 | 可能(受託者経由) | 不可能(ペットは法的相続人でない) | 受取人が責任を果たす保証なし |
継続性 | 定期支出・監督制度あり | なし | なし |
トラブル防止効果 | 高い(契約書に明記) | 相続人間の争いリスクあり | 管理責任が不明確 |
ペット信託は、「ペットのためだけにお金を使う」ことを法的に担保できる唯一の仕組みです。
第3章 ペット信託のメリットとデメリット
メリット
- 飼い主が亡くなっても確実に生活資金が確保される
ペットの医療・食費・介護費用などが、信託契約で守られる。 - 信頼できる受託者に任せられる
家族・弁護士・団体など、希望に応じて選定可能。 - 透明な資金管理
信託口座を使うことで、「ペットのためだけの費用」が明確化。 - 生前から運用できる
元気なうちに契約しておけば、入院・認知症などの際にも対応可能。 - トラブル防止
遺産分割や親族間トラブルの原因を減らせる。
デメリット
- 設定や契約に費用がかかる(後述)
- 受託者を慎重に選ばなければならない
- 契約内容を定期的に見直す必要がある
ペット信託は便利な制度ですが、「誰に託すか」「どんな条件で使うか」を明確にすることが重要です。
第4章 ペット信託にかかる費用の目安
ペット信託は個別契約のため費用はケースにより異なりますが、一般的な相場は以下の通りです。
費用項目 | 内容 | 相場 |
---|---|---|
契約書作成費用 | 弁護士・司法書士など専門家の作成サポート | 5〜15万円程度 |
信託設定費用 | 登記・手数料などの初期費用 | 3〜5万円前後 |
管理費用 | 信託期間中の口座管理・報告費 | 年間1〜3万円前後 |
ペット飼養費(信託金) | 食費・医療費・トリミング・葬儀費など | ペット1頭あたり50〜100万円前後が目安 |
※飼養費は「余った場合の処理方法(寄付・返還など)」も契約で定めておきます。
第5章 ペット信託の手続きと進め方
- ペットの今後を整理する
どこで・誰に・どんな暮らしをしてほしいかをリストアップ。 - 信頼できる受託者を決める
家族・友人・団体・弁護士などから選び、意思確認を行う。 - 信託財産を設定する
銀行預金・保険金・現金など、ペットのために残す資産を決める。 - 契約書を作成する
専門家(弁護士・司法書士)を通じて正式に締結。 - 定期的に見直す
ペットの年齢・健康状態・生活環境が変われば、契約内容も更新。
第6章 ペット信託を相談・検討する際のポイント
ペット信託は、まだ一般の方にはなじみの薄い制度です。
そのため、契約内容を理解し、信頼できる相談先を選ぶことがとても重要です。
契約を検討する際は、次の点を意識しましょう。
- 契約書を専門家(行政書士・司法書士・弁護士)にチェックしてもらう
- 実際にペットを託す相手(個人・団体)の信用性を確認する
- 費用や管理内容を「見える化」しておく
また、一般社団法人 終活協議会では、
ペットの終活や法的備えに関する解説記事・コラム・資料の公開を通じて、
飼い主が安心して準備を進められるように情報発信を行っています。
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第7章 まとめ:ペット信託は「愛情のかたち」
ペット信託は、お金の話ではなく「想いの延長線上にある制度」です。
自分がいなくなっても、大切な家族であるペットが安心して暮らせるように。
「まだ早い」と思っている今が、実は最も適したタイミングです。
元気なうちに準備を進めておけば、ペットにも飼い主にも「安心の未来」を残せます。
「終活」というと相続や遺言に意識が向きがちですが、ペットの未来を守る仕組みづくりも欠かせません。
大切な家族であるペットのために、専門家に相談しながら早めに準備を進めることをおすすめします。
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監修

- 一般社団法人 終活協議会 理事
-
1969年生まれ、大阪出身。
2012年にテレビで放送された特集番組を見て、興味本位で終活をスタート。終活に必要な知識やお役立ち情報を終活専門ブログで発信するが、全国から寄せられる相談の対応に個人での限界を感じ、自分以外にも終活の専門家(終活スペシャリスト)を増やすことを決意。現在は、終活ガイドという資格を通じて、終活スペシャリストを育成すると同時に、終活ガイドの皆さんが活動する基盤づくりを全国展開中。著書に「終活スペシャリストになろう」がある。
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