2023年8月6日

デジタルデータをトラブルなく引き継ぐ。デジタル終活の進め方と注意点を業界関係者が解説

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私たちの生活において、インターネットは欠かすことのできないインフラとなっており、パソコンやスマートフォン、タブレット端末などのデジタルツールを毎日活用するのが当たり前になっています。ご高齢の方でもデジタルツールを日常的に使用して、様々なサービスを利用している方が増えています。
そんな中、近年「終活」という言葉が一般に普及し、取り組む方も増えてきていますが、終活の際にはパソコンやスマートフォンのデータをどのように処分するのか、という「デジタル終活」も併せて考える必要があります。
そこで今回は、デジタル終活が必要な理由、進め方、注意点などを解説します。

デジタル終活とは

パソコンやスマートフォンには多くのデータが保存されているかと思います。高齢者本人が自身の死後に備え、データの扱い方を考えて整理し、不要なデータを削除し、必要なデータを保存しておくことをデジタル終活といいます。
デジタルデータには個人情報などの重要なデータが含まれていることが多く、またインターネットを経由したサービスの利用も増えていることから、そういったサービスの情報についても扱い方を考える必要があります。本人の死後に情報漏洩が起きてしまった際などに何も情報を把握できていないと、大きな問題に発展する可能性があります。
そういった場合には、家族にとって大きな負担となってしまうことから、デジタル終活は積極的に進めておいたほうがいいでしょう。

デジタル終活と普通の終活の違いとは

一般的に「終活」といえば、自分の死後、不動産や預金など資産の扱いをどうするか、葬儀や埋葬などをどうしてほしいのかといった意向を記し、身の回り品の処分・整理を行うことを言います。
一方、デジタル終活とは、終活の中でもデジタルデータの取扱いに絞った活動のことを指します。
現在、オンラインの銀行や証券を利用している方も多く、最近では仮想通貨を所有している方も増えているため、お金に関わる重要なことも多く含まれています。
デジタル終活はパソコンやスマートフォン、タブレット端末上の作業で手軽に取り組みやすいことから、終活を始める際にはデジタル終活から手を付ける方も多いようです。

デジタル終活のメリット

デジタル終活を行なうことによる大きなメリットを3点、紹介します。

1:お金に関するトラブルを避けることができる

オンラインの銀行にお金を預けている場合、本人の死後に通帳が遺らないため、デジタル終活を行っていなかった場合、どの銀行の口座に預金が残っているのか分からなくなる可能性があります。たとえ銀行名や口座番号が分かっていたとしても、ID・パスワードが分からないことで、相続財産を把握できない可能性もあります。
また、オンライン証券で株取引をしていることや、仮想通貨を所有していることを事前に共有していないと、本人の死後、遺族が知らぬ間に相続財産がマイナスになる恐れも考えられます。そのため、デジタル終活を行い家族に事前に情報を伝えておくことで、こうしたトラブルを避けることができます。

2:個人情報を守ることができる

ショッピングサイト等に登録しているログイン情報やクレジットカード番号、配送先の住所といった個人情報を放置しておくと、不正利用をされてしまったり住所を特定されてしまったりする恐れがあります。
また、SNSのアカウントを放置しておくことも個人情報の漏洩につながる恐れがあります。そのため、デジタル終活の際に、利用していないサイトやSNSのアカウントは削除して、利用しているサイトやSNSのアカウントについては家族に知らせておくことで、個人情報の漏洩のリスクを減らすことができます。

3:プライバシーを保護することができる

パソコンやスマートフォン、タブレット端末には大切な写真や思いを綴った文章などがたくさん残っているかと思います。その中には他人に見られたくないものや、家族や知人友人のプライバシーに関わるものも含まれている可能性があります。デジタル終活を行なうことで、そういった大切な情報が漏洩することを防ぎ、プライバシーを守ることができます。

整理するデジタルデータを紹介

デジタル終活で整理しておくべきデジタルデータには具体的にどのようなものがあるか紹介します。

1:映像データや文書データ

スマートフォンの撮影機能が充実したことにより、写真や動画のデータを多く残す方が増えており、また、そういったデータをクラウドにバックアップしている方も増えています。その他にもパソコンやスマートフォン、タブレット端末で作成した、住所録をはじめとした書類や資料などの文書データについても、整理しておいたほうがいいでしょう。

2:オンラインサービスのアカウント情報

オンラインの銀行や証券取引、仮想通貨、ショッピングサイトやサブスクリプションの会員向けアカウント情報は、慎重に管理する必要があります。ログイン情報が分からないと、最悪の場合サービスを解約、退会することができなくなる恐れがあります。

3:連絡先の情報

電話番号やメール、LINE情報などの連絡先は、携帯電話のパスワードが解除できずに確認できない場合、訃報などの緊急の連絡ができなくなる可能性があります。遺族が連絡先を探す負担を減らすためにも、生前に電話番号やメールアドレスなどの連絡先の情報を共有しておくことが重要です。

4:SNSのアカウント

TwitterやFacebook、LINE等のSNSから情報の発信をしている高齢者が年々増えていますが、本人の死後にパスワードの定期的な変更などのアカウントの管理が行われなくなることで、乗っ取りが行われたり情報漏洩が起こってしまう可能性が高くなります。高齢者本人の死後はアカウントを削除するか、遺族が引き継ぐかなどのSNSアカウントの管理方法を事前に決めておく必要があります。

デジタル終活の進め方

デジタル終活をどのように進めていけばいいのかを、下記3つのステップで説明します。

ステップ1:デジタルデータを洗い出す

デジタルデータをすべて洗い出し、リストにします。パソコン、スマートフォン、タブレット端末、クラウド、外付け記憶媒体など、データが保存されている場所ごとに、何のデータがどの位あるのかExcelにまとめておくと、分かりやすいのでおすすめです。利用しているオンラインサービスも一覧表にして、ログイン情報をまとめておきましょう。

ステップ2:分類・整理し処分する

洗い出したデジタルデータを分類・整理し、処分します。「残すもの」「不要なもの」に分けて、不要なデータは思い切って削除しましょう。
また「残すけれど家族には見られたくないデータ」は別に分けて保存し、後述する「自動データ消去ソフト」等の利用を検討することをおすすめします。

ステップ3:エンディングノートに記録する

デジタルデータの整理・処分ができたら、エンディングノートに記録を残しましょう。
ステップ1で洗い出したデジタルデータの情報が「どこにあるか」「自分の死後どのようにデータを扱えばいいのか」を記載しておくことで、家族への負担を大幅に軽減することができます。

デジタル終活に役立つツール

デジタル終活に役立つツールを紹介します。

自動データ消去ソフト

自動データ消去ソフトとは、パソコンやスマートフォンにおいて、最後に起動した日から設定した日数が経過した場合、自動的にデータを削除してくれるソフトです。家族に見られたくないデータがある場合は、こういったソフトを使用して、自動で削除されるよう準備をしておくのがおすすめです。
有料のものだけでなく、フリーソフトでもいくつかリリースされているため、無料で利用することもできます。

デジタル終活の注意点

デジタル終活を行う上で、どのような点に注意すればいいのか紹介します。

1:家族に伝えること

せっかくデジタル終活をしたとしても、整理したデータのリストやアカウント情報などを家族が知らなかったとしたら、デジタル終活をした意味が薄くなってしまいます。そのため、デジタル終活をしていることは、家族にしっかり伝えましょう。

2:ログイン情報とや暗証番号などの管理に注意する

オンライン銀行などの資産に関連するサービスのログイン情報や暗証番号をエンディングノートに記載しておくと、万が一、紛失したり盗難にあった場合に悪用されてしまう可能性があります。そのため、ログイン情報や暗証番号などは、貸金庫などセキュリティがしっかりした場所で保管することをおすすめします。

3:定期的に見直しをする

デジタル終活を終えた後も、パソコンやスマートフォンなどは日々利用するものです。そのため、新たに利用を始めるサービスがあるかもしれません。デジタル終活を終えた後も、エンディングノートなどに記載した情報を更新する必要がないかどうか定期的に見直しましょう。

家族の負担を軽減するためにも早めのデジタル終活を

インターネットを介したサービスの拡大が進む中、デジタル化したデータは重要なものが増えています。死後のことや終活について、まだ先のことだと考えて先延ばししていると、大きなトラブルに発展し、家族に負担をかけてしまう恐れもあります。デジタル終活は、パソコンやスマートフォン、タブレット端末などでの簡単な作業がメインのため、時間があるときに取り組みやすいでしょう。元気なうちに少しずつでも進めておくことをおすすめします。
デジタル終活についてお悩み事やご不明な点がございましたら、一般社団法人 終活協議会へお気軽にお問い合わせください。終活に関する多くの実績と充実したサポート体制で多くのお客様からご好評を頂いており、会員数は現在2万人以上です。デジタル終活の知識が豊富な当社スタッフが迅速かつ誠心誠意ご相談にお答えいたします。
365日 (受付時間10:00~17:00) 対応していますので、お気軽にお電話ください。
また、会社やサービスについて資料請求をご希望の方は、下記のページからご連絡をお願いいたします。24時間365日受け付けております。

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監修

竹内義彦
竹内義彦一般社団法人 終活協議会 理事
1969年生まれ、大阪出身。
2012年にテレビで放送された特集番組を見て、興味本位で終活をスタート。終活に必要な知識やお役立ち情報を終活専門ブログで発信するが、全国から寄せられる相談の対応に個人での限界を感じ、自分以外にも終活の専門家(終活スペシャリスト)を増やすことを決意。現在は、終活ガイドという資格を通じて、終活スペシャリストを育成すると同時に、終活ガイドの皆さんが活動する基盤づくりを全国展開中。著書に「終活スペシャリストになろう」がある。

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