2023年12月3日

要介護認定とは?認定基準や申請方法について業界関係者が解説

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要介護認定とは、介護サービスの必要度を判断するためのもので、介護保険のサービスを利用するために必要となる指標です。要介護状態とは、日常生活において何らかの支援や介護が必要な状態を指し、その度合いに応じていくつかの認定レベルが設定されています。しかし、要介護認定の仕組みや申請方法などを知らない方はまだ多くいらっしゃいますので、今回は、要介護認定の概要をはじめ、認定基準や申請方法、申請前に確認する内容などを紹介します。

要介護認定とは?

要介護認定とは、要介護状態にある高齢者が「どの程度の介護を必要とする状態にあるか」を数値化したもので、「要支援1・2」「要介護1~5」の7つの区分に分けられています。数値が大きくなるにつれて介護の必要性が高くなり、認定された区分によって受けられる介護サービスの内容が異なります。

要支援と要介護の違い

要支援状態と要介護状態の違いを説明していきます。

要支援状態

要支援状態とは、軽度の介護を必要とする状態です。日常生活上の基本的動作(食事、入浴、排泄など)については、ほぼ自力で行うことが可能ですが、手段的日常生活動作(電話、買い物、食事の準備、服薬管理など)では何かしらの支援を要する状態です。

要介護状態

要介護状態とは、中度~重度の介護を必要とする状態です。
要介護状態では、手段的日常生活動作において一部または全部の介助を必要とし、基本的動作においては自力で行うことが難しく、介護を必要とする状態です。
要介護1は要介護状態のなかでは最も軽度ではあるものの、要支援状態よりも状態が悪く、生活において一部の介護を必要とする状態です。要介護5は認知症を抱えていたり、身体上の麻痺があることで、常時介護を必要とする状態の方が多いです。

要介護区分ごとの支給限度額

要支援状態や要介護状態になった場合、介護保険を受けることができるようになります。
介護保険では、判定された区分に応じて支給限度額(月額)が定められています。支給限度額とは介護保険から給付される1ヵ月あたりの上限額のことで、居宅サービスの支給限度額は下記の通りです。

居宅サービスの支給限度額

※1単位あたり10円で計算
※利用者の自己負担額が1割の場合

出典:令和4年版 厚生労働白書 ⑩高齢者保健福祉

要介護認定の基準について

要介護認定は一体どのような基準に基づいて判定されるのでしょうか。要介護認定の基準は、全国一律で定められています。これは、対象者の住む地域によって基準や区分が異なることによる不公平感を防ぐ狙いがあります。次は、要介護認定の基準について紹介します。

要介護認定の基準

厚生労働省は要介護認定の判断基準を、次のように明示しています。

項目内容
直接生活介助入浴、排せつ、食事等の介護
間接生活介助洗濯、掃除等の家事援助等
問題行動関連行為徘徊に対する探索、不潔な行為に対する後始末等
機能訓練関連行為歩行訓練、日常生活訓練等の機能訓練
医療関連行為輸液の管理、褥瘡の処置等の診療の補助
要介護認定等基準時間の分類

出典:「(参考(3)介護保険制度における要介護認定の仕組み)」厚生労働省

要介護区分内容
要支援1上記5分野の要介護認定等基準時間が
25分以上32分未満またはこれに相当する状態
要支援2
要介護1
上記5分野の要介護認定等基準時間が
32分以上50分未満またはこれに相当する状態
要介護2上記5分野の要介護認定等基準時間が
50分以上70分未満またはこれに相当する状態
要介護3上記5分野の要介護認定等基準時間が
70分以上90分未満またはこれに相当する状態
要介護4上記5分野の要介護認定等基準時間が
90分以上110分未満またはこれに相当する状態
要介護5上記5分野の要介護認定等基準時間が
110分以上またはこれに相当する状態
要介護認定等基準時間の分類

出典:「要介護認定はどのように行われるか」 厚生労働省

このように、介護にはどの程度の手間や時間がかかるかの細かい基準があり、この基準に基づいて要介護度の認定を行います。

要介護認定を申請する前に確認すべき内容を紹介

要介護認定の申請をする前に確認しておきたいことを紹介します。

1:申請場所の確認

要介護認定の申請は対象者が住んでいる市区町村の役所で行います。申請する窓口は、「介護保険課」や「長寿福祉課」が一般的ですが、自治体によっては名称が異なります。
そのため、担当部署の名称について役所へ確認を取りましょう。

「都道府県別市区町村の役所役場」連絡先一覧

2:書類の準備

要介護認定の申請に必要な書類は市区町村によって異なりますが、原則的には次の通りです。

  • 要介護認定や要支援認定の申請書
  •  介護保険の被保険者証
  • 医療保険の被保険者証(65歳未満の場合)
  • 主治医の意見書
  • その他(申請者の身分証明書、マイナンバーを確認できる書類など)

「申請時に書類が不足していた」とならないように、どのような書類が
必要であるか事前に役所へ確認しておくことをおすすめします。

3:申請は誰がするのか

要介護認定は、原則として介護保険のサービスを利用しようとする本人が行います。ただし、下記のような理由で申請ができない場合は代理で申請することも可能です。

  • 対象者が重度の要介護状態で申請することができない。
  • 対象者が入院中で申請することが難しい。

代理で申請できる方や機関は下記の通りです。

  • 対象者の家族、親族
  • 地域包括支援センター
  • 居宅介護支援事業所
  • 介護保険施設(本人が入所している場合)

代理申請をするには前述の必要書類に加えて、「代理権確認書類(委任状や申述書など)」や「代理人確認書類」「代理人所属確認書類」が必要になる場合があります。
そのため、書類を準備する際に「代理申請する場合は追加で必要になる書類があるのか」を役所へ事前に確認しましょう。

要介護認定の申請内容を紹介

ここからは実際に要介護認定の申請内容や、判定が出るまでの過程を紹介します。

STEP1:市区町村の窓口へ申請する

本人、または代理人が市区町村の担当窓口へ要介護認定の申請を行います。申請を行うのは原則的には対象者本人とされていますが、前述した通り代理で申請を行うこともできます。

STEP2:訪問調査

要介護認定の申請を受けた市区町村の担当者が、最初に訪問調査を行います。訪問調査とは、市区町村の担当者が対象者の住む自宅などを訪問し、あらかじめ定められている調査項目に基づき、対象者の身体機能、生活機能、認知機能に関する調査を行います。
また、既に利用しているサービスの状況や、家族による介護の状況なども聞き取ります。
所要時間は、おおむね1時間程度です。

STEP3:主治医の意見書を作成

申請を受けた市区町村の担当者は訪問調査と並行して、対象者の主治医(かかりつけ医)に対して意見書の作成を依頼します。意見書には対象者の身体上の疾病や障害の有無、認知症の有無、既往歴(これまでにかかった病気)が記載されます。

STEP4:一次判定(コンピュータによる判定)

担当者は、対象者の心身機能に関する情報をコンピュータに入力し、要支援1・2、要介護1~5のいずれかに判定されます。あくまでも一次判定であるため最終的な判定ではありません。

STEP5:二次判定(介護認定審査会)

市区町村側は、一次判定の結果と、主治医意見書、その他の特記事項をもとに介護認定審査会を開き、最終的な判定を出します。これを二次判定といいます。
介護認定審査会とは、医療や介護分野の有識者(医師や看護師、社会福祉士、介護福祉士など)が5人1組の合議体で要介護の審査や判定をおこなう機関で、全国の市区町村に
設置されています。二次判定の結果は、原則として申請から30日以内に対象者へ通知されますが、地域によっては2ヶ月要する場合もあります。
このように、二次判定では一次判定の結果をもとに複数の専門家で話し合い、最終判定する仕組みになります。

要介護認定の申請後の流れ

要介護認定で要支援、要介護状態と判定された場合の流れを紹介します。要介護認定は申請すれば誰もが認定されるわけではなく、対象者の心身状態によっては「自立」と判定される場合があります。自立とは「心身ともに自分の力で生活できる状態のこと」であるため介護保険のサービスを利用することはできませんが、審査請求を行うことができます。

要支援1・2と判定された場合

要支援1・2と判定された方は、介護保険による「介護予防サービス」を利用することができます。介護予防サービスとは、利用者が要介護状態にならないように予防する目的で提供されているサービスです。
介護予防サービスを利用する場合は、地域包括支援センターへ相談します。その後、同センターに所属する保健師などが利用者の状態や必要性に合わせた介護予防ケアプランを作成して、その計画内容に沿った介護予防サービスを利用することができます。

要支援1~5と判定された場合

要介護1~5と判定された方は、下記の順序に沿って介護保険のサービスを利用します。

順序自宅に住んでいる場合施設に入所する場合
1利用者が居宅介護支援事業所を選び、介護支援専門員(以下、ケアマネジャー)と契約する。入所を希望する介護施設の見学や、
入所の申し込みを行い契約する。
2ケアマネジャーが、利用者の状態や必要性、支給限度額に合わせて、ケアプラン(サービス計画書)を作成する。施設に勤務するケアマネジャーが
利用者の状態やニーズに沿って、ケアプラン(施設サービス計画書)を作成する。
3利用者はケアプランに則って、介護保険のサービスを利用する。利用者はケアプランに則って施設で
介護サービスを受ける。
4利用者の自己負担額は、原則として1割(所得に応じて2~3割)同左

ケアプランの作成費用については、全額介護保険で賄われるため、利用者の自己負担は
ありません。

認定結果に納得がいかない場合

要介護認定の決定に不服がある場合は、都道府県に設置された「介護保険審査会」に対して審査請求(不服申立て)を行うことができます。審査請求の結果、要介護認定の過程において不備が認められれば、認定を再度やり直すことがあります。すぐに不服申立てをすることに抵抗がある場合は、市区町村の窓口または地域包括支援センターへ相談することをおすすめします。

要介護認定の手続きでお困りの方は一般社団法人 終活協議会にお任せください

今回は、要介護認定について解説しました。要介護認定の結果は、介護サービスの利用に大きな影響を与えるため、実態と乖離の無い認定を受けることが大切です。
また、要介護認定の申請は非常に複雑で難しいため、専門家へお任せするのがおすすめです。一般社団法人 終活協議会では要介護認定の申請に関するご相談を承っております。
終活サービスを始めて約20年、20,000人以上のお客様の終活をサポートした実績があり、多くのお客様からご好評の声をいただいております。
全国17カ所の拠点でサービスを展開し、要介護認定にたずさわる専門家とのネットワークを各地に構築しています。追加費用やオプション費用は一切無く、「入会金と基本料金のみ」で、お客様にとって要介護認定を申請するための最適なプランを提供することが可能です。
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心託サービス資料請求ページ

監修

竹内義彦
竹内義彦一般社団法人 終活協議会 理事
1969年生まれ、大阪出身。
2012年にテレビで放送された特集番組を見て、興味本位で終活をスタート。終活に必要な知識やお役立ち情報を終活専門ブログで発信するが、全国から寄せられる相談の対応に個人での限界を感じ、自分以外にも終活の専門家(終活スペシャリスト)を増やすことを決意。現在は、終活ガイドという資格を通じて、終活スペシャリストを育成すると同時に、終活ガイドの皆さんが活動する基盤づくりを全国展開中。著書に「終活スペシャリストになろう」がある。

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