2024年7月25日

墓じまいとは?平均費用や手続きの流れを解説!

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かつてのお墓は、先祖から子孫へと代々受け継がれるものでした。しかし現代では死後の供養に対する価値観が大きく変化しており、お墓を手放したいと考える方は増加の一途をたどっています。

「墓じまいをしないとどうなる?」

「費用はどのくらいかかる?」

「お墓から取り出した遺骨はどうすればいい?」

本記事では、上記のような疑問にお答えします。最後まで読めば墓じまいの基礎知識が身につき、具体的な対処法がわかるようになります。ぜひ参考にしてください。

墓じまいとは墓石を解体・撤去すること

墓じまいとは墓石を解体・撤去すること

終活ブームの高まりとともに、墓じまいを検討する方は増加傾向にあります。ただ、実際に墓じまいしようと考えても、何から始めればいいのかわからない方が多いのではないでしょうか。まずは墓じまいの基礎知識を解説しますので、参考にしてください。

墓じまいの概要

墓じまいとは、墓石を解体・撤去したのちに更地へ戻し、区画の使用権を墓地に返還することです。たいていは別のお墓に遺骨を移すため「改葬」とも呼ばれます。

墓じまいするには行政手続きが必要となり、お墓のある市町村を管轄する役所に届け出なければなりません。無許可で遺骨を取り出す行為は法律違反となり、懲役や罰金刑が科される可能性があります。

墓じまいが増えている背景

厚生労働省が公表している「衛生行政報告例」によると、2022年の改葬件数は151,076件でした。そのうち無縁墳墓(管理者がいないお墓)は3,414件となっています。

墓じまいが増えた背景には、少子高齢化やお墓に対する価値観の変化といった事情があります。旧民法の時代には家制度があり、先祖代々のお墓を守る意識が人々に根付いていました。

しかし家族や親戚が少ない現代ではお墓を管理し続けることができなくなり、結果として後継者のいないお墓が全国で増加。またニュースで無縁墳墓に関する報道が目立つようになり、「自分たちのお墓も同じことになる」と心配する方も多くなりました。終活ブームの流行も相まって、元気なうちにお墓を手放そうと考える流れができたことも要因の一つといえます。

墓じまいにかかる費用は平均30~300万円

墓じまいにかかる費用は平均30~300万円

墓じまいの費用はお墓の状況によって変動し、平均で30~300万円ほどかかります。墓地の通路が狭かったり、傾斜のある場所にお墓が建っていたりする場合は工事費用が高額になる可能性が高いでしょう。また昔ながらのお墓で墓石が多いケースも同様です。

墓じまいにかかる費用は、大きく分けて3つあります。表にまとめると以下のとおりです。

墓石の撤去費用・約30~50万円
・寺院墓地の場合、離檀料(檀家をやめる歳に支払う謝礼)を包む場合がある
行政手続きにかかる費用・数百円~1,500円程度
・埋葬証明書、受入証明書、改葬許可証などの取得費用
改葬費用・約10~260万円
・お墓の種類や供養の方法によって幅がある

墓じまいの費用を抑えるには、リーズナブルな改葬先を選ぶといいでしょう。

墓じまいの手順

墓じまいの手順

続いては、墓じまいの手順を紹介します。お墓を解体して遺骨を取り出すだけが墓じまいではなく、そのステップに到達する前にもやることがあります。ここでは8つのステップに分けて解説しますので、参考にしてください。

家族や親族に相談して了承を得る

お墓を処分する際、管理者の一存で実行すると家族・親族とのトラブルになるかもしれません。身内で揉めないよう、関係者の意見を聞いたうえで了承してもらいましょう。

よくあるのは、お墓の継承者が独断で墓じまいするケースです。何も知らされていなかった関係者が、あとから墓じまいしたと知り、最悪の場合は絶縁状態になることもあるようです。

費用の負担はどうするのか、遺骨はどこに移すのかなど、事前に決めなければならない内容を話し合っておくといいでしょう。

遺骨の改葬先を決める

家族や親族の同意を得られたら、新しいお墓を決めます。

【改葬先・供養方法の一覧】

  • 一般墓
  • 永代供養墓
  • 合祀墓(ごうしぼ)
  • 納骨堂
  • 樹木葬
  • 散骨
  • 手元供養

一般墓・永代供養墓・納骨堂などは費用が高めになる傾向にあります。埋葬費用を抑えたい方は、合祀募・樹木葬・散骨・手元供養などを選ぶといいでしょう。

なお散骨する場合は、信頼できる業者に依頼するのが確実な方法です。また、市町村によって散骨のルールが決められている可能性があるため、確認する必要があります。

お墓の管理者に相談する

改葬先が決まったら、墓地の管理者に墓じまいの相談をします。寺院墓地なら住職に、公営や民営の墓地であれば管理事務所に連絡しましょう。

宗教色の薄い公営・民営墓地にお墓があるケースでは、とくに問題ないと考えられます。しかし寺院墓地の場合は、離檀料に関するトラブルが発生するかもしれません。法的な支払義務はないものの、慣習として離檀料を請求するお寺もあるようです。

同様のトラブルを防止する対策として、あくまでも相談する形で墓じまいしたい旨を伝えるのがベターでしょう。伝え方次第ではお寺との関係がこじれるため、慎重に言葉を選んでください。

行政手続きをおこなう

墓じまい・改葬をするには、以下の書類をそろえ、新しいお墓のある市区町村役場に「改葬許可申請書」を提出します。

【行政手続きに必要な書類】

  • 埋葬証明書
  • 受入証明書
  • 墓地の名義人の承諾書(墓地の使用者と申請者が異なる場合)

埋葬証明書は墓地の管理者に、受入証明書は遺骨の改葬先に発行してもらいます。改葬許可証を取得するまでに時間がかかる可能性があるため、墓石の解体工事が始まる前に対応しましょう。

なお、手元供養や散骨を選ぶ場合は受入証明書を入手する必要はありません。

閉眼供養をおこなう

閉眼供養(へいげんくよう)とは、墓石に宿るとされる先祖の魂を抜くための儀式です。墓石の前で住職や僧侶に読経してもらい、その際に謝礼としてお布施を渡すのがマナーとされています。金額の目安は3~10万円程度で、お寺との付き合いが長いほど高額になるようです。

閉眼供養は「魂抜き」「お性根抜き」などとも呼ばれ、事前に済ませておかないと業者に墓石の工事を断られるかもしれません。なるべく早めにやっておくといいでしょう。

墓石の解体業者を探す

行政手続きや閉眼供養の手配をすると同時に、墓石の解体業者への依頼も進めます。石材店に依頼するのが一般的で、民営霊園では指定の石材店があるところも珍しくありません。なお、寺院墓地でも同様のケースが見受けられます。

解体業者が見つかったら、工事費用の見積もりを取りましょう。総額でどのくらいかかるのか事前に把握し、費用の内訳を確認しておきます。自分で業者を選べる場合は、複数の業者に相見積もりを依頼して金額を比較するのがおすすめです。

墓石の解体・撤去をおこなう

解体工事の当日は、必ずしも現場に立ち会う必要はありません。希望する方は霊園や業者に相談しましょう。

お墓の撤去費用の目安は、1㎡あたり10万円前後です。あくまで目安であり、以下の要因によって変動する可能性があります。

【墓石の撤去費用が変動する要因】

  • 墓地の立地や状態
  • 地盤の状態
  • 基礎工事の状態
  • 撤去する墓石の量、運搬費用
  • 墓石の処分場に支払う費用

区画内に複数の墓石が建っていたり、お墓の基礎が強固で工事に手間がかかったりするケースでは、想定以上に費用が高くなるかもしれません。

遺骨を改葬先に埋葬する

墓石を解体・撤去して遺骨を取り出したら、新たなお墓に移送して埋葬します。

墓石があるタイプのお墓に改葬する際は「開眼供養(かいげんくよう)」をおこない、お墓に魂を入れてから埋葬してください。閉眼供養と同じく、墓石の前で住職や僧侶に読経してもらいお布施を渡します。納骨時に改葬許可証が必要なため、忘れずに持参しましょう。

墓じまいをする3つのメリット

墓じまいをする3つのメリット

お墓の管理を続けるのが難しいなら、早いうちに墓じまいの準備を始めるのが得策です。ここでは墓じまいするメリットを紹介しますので、お墓に関する悩みをお持ちの方は参考にしてください。

お墓の管理にかかる費用を節約できる

お墓の管理費用として挙げられる項目は以下のとおりです。

  • 毎年の管理料
  • 飛行機や新幹線のチケット代
  • ガソリン代
  • 高速料金

お墓が遠方にある場合は、公共交通機関や自家用車などで移動しなければなりません。そのたびに交通費がかかり、家計の負担になる可能性があります。管理料はそれほど高額ではないものの、長い目で見れば大きな金額になるはずです。近い将来にお墓の管理者がいなくなるとわかっているなら、墓じまいを検討すべきでしょう。

心理的な負担が減る

お墓に手を合わせなくても故人の供養はできますが、「ご先祖さまに申し訳ない」と後ろめたい気持ちになる方もいるのではないでしょうか。お墓参りに行きたくてもいけない方にとっては、心理的な負担につながります。

たとえば自宅の近くにお墓を移すことで、もっと手軽にお参りできるようになるでしょう。新たなお墓を建てたくないなら、遺骨を手元供養する手段も考えられます。墓じまいはネガティブな選択肢ではなく、前向きな対処法だと考えるといいでしょう。

子どもや孫にお墓の管理を任せなくて済む

かつてのお墓は子孫に受け継がれるものでしたが、現代では事情が異なります。親世代が「子どもや孫にお墓の面倒をかけたくない」と悩んだ結果、墓じまいを検討するケースが増加しました。

お墓の話をする機会はお盆やお彼岸などに限られており、何となく話題にしにくいテーマといえます。「縁起が悪い」というイメージがあるため、つい先延ばしにしたくなるかもしれません。

たしかに面倒かもしれませんが、うやむやにするのは避けるべきです。いつかは墓じまいする方向で意見が一致しているなら、家族間で話し合って具体的な時期を決めましょう。

墓じまいをする3つのデメリット

墓じまいをする3つのデメリット

続いては墓じまいのデメリットを紹介します。お墓を手放せば全ての悩みを解決できるとは限らず、新たな問題が出てくるかもしれません。ここでは想定される3つのケースを挙げて解説しますので、参考にしてください。

親族とトラブルになる可能性がある

お墓に対する価値観は世代によって相違があり、とくに高齢の親族ほどお墓を大事にする傾向があります。墓じまいすることで手を合わせる対象がなくなるため、快く思わない方も多いでしょう。

現時点で、お墓の管理に支障が生じている場合は、費用や手間を説明して事情を理解してもらうといいかもしれません。どうしてもお墓を残したいと言われたら、負担を平等にできないか頼んでみましょう。もしくは代わりにお墓を管理してもらうのも有効な方法です。

遺骨が合祀されると取り出せなくなる

墓じまい後に永代供養を選択すると、一定期間が経過したのちに遺骨は合祀されます。なかには最初から合祀墓を選ぶ方もいるでしょう。

合祀されてから別の場所にお墓を移したいと思っても、他の遺骨と混ざった状態で供養されるため取り出せなくなります。墓じまいと改葬はセットのため、納得できる供養の方法を考えてから実行してください。

高額な離檀料を請求される場合がある

長年お世話になった菩提寺に墓じまいすると伝えたところ、数百万円単位の離檀料を請求されてトラブルになる事例があります。

菩提寺に埋葬証明書を発行してもらわないと墓じまいできないため、檀家は離檀料の支払いに応じざるを得ません。いわば遺骨を人質に取られた状態です。もしそのようなトラブルに遭遇した場合は、消費者相談センターや弁護士などに相談しましょう。

墓じまいに関するよくある質問

墓じまいに関するよくある質問

最後に、墓じまいに関する質問と回答を紹介します。墓じまいをする機会はめったになく、わからないことがあっても周囲に経験者がいないかもしれません。これからお墓を処分する予定がある方は参考にしてください。

墓じまいをせずに放置するとどうなりますか?

お墓を放置した場合、無縁墳墓として強制的に撤去されます。ただしいきなりお墓を壊すわけではなく、しかるべき段階を踏んだのちに撤去される流れです。

  • 墓地管理者から管理料の通知状や督促が届く
  • お墓に看板が立つ
  • 官報に名義人が公示される

それでもお墓の管理者から管理料が支払われなければ、最終的にお墓は取り壊されます。

墓じまいの費用は誰が負担しますか?

費用負担に関する決まりはないため、どなたが負担してもよいとされています。一般的にはお墓の管理者が費用を支払うケースが多いでしょう。

墓じまいにかかる費用は高額なため、管理者が払いきれない場合もあります。その場合は家族や親族が分担して支払っても問題ありません。

墓じまいに立ち会う際は喪服を着用すべきですか?

墓じまいは弔事ではないため、喪服でなくても大丈夫です。黒・グレー・ネイビーなど、落ち着いた色合いの礼装で臨むのがベストでしょう。

男性はスーツ、女性はワンピースやアンサンブルなどが一般的です。お子さまは学校の制服を着用するか、地味な色の衣装を用意すれば問題ありません。

まとめ:お墓の管理が難しければ早めに墓じまいを検討しよう

まとめ:お墓の管理が難しければ早めに墓じまいを検討しよう

無縁墳墓の増加により、墓じまいのニーズは今後も伸びると見込まれます。「我が家のお墓も、いつかは墓じまいしなければ・・・・・・」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

墓じまいの手続きには時間とお金がかかるため、高齢になるほど難しくなります。自力ではやり切れないとお困りなら、墓じまいの代行サービスを依頼するといいかもしれません。

終活の一環として墓じまいを視野に入れている方は、まず専門家に相談してみてはいかがでしょうか。想いコーポレーション株式会社では、無料セミナーを実施しています。墓じまいに限らず終活全般に関する悩みや疑問にお応えしますので、お気軽にお申込みください。

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