永代供養の基礎知識!費用やメリット・デメリットもわかりやすく解説

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永代供養は、変化する現代の供養ニーズに応える選択肢のひとつです。かつては先祖代々のお墓を継承するのが一般的でしたが、今日では価値観の変化により、多くの方が墓じまいを考えています。

「永代供養とは何か?」
「永代供養にはどのような種類があるのか?」
「費用相場はどのくらいか?」

本記事では、上記のような疑問にお答えします。墓じまいや永代供養に関心がある方、納得のいくお墓探しをしたい方は、ぜひ参考にしてください。

永代供養とは霊園やお寺が遺骨の管理・供養を供養すること

永代供養とは霊園やお寺が遺骨の管理・供養を供養すること

永代供養とは、遺族の代わりに霊園やお寺が遺骨を管理・供養することです。かつてのお墓は一族に受け継がれていくのが一般的で、身寄りがない方の菩提を弔うために永代供養がおこなわれていました。しかし少子高齢社会の影響により無縁墳墓(跡継ぎがいないお墓)が増加し、時代の変化を反映した結果、永代供養の需要が高まっています。

1999年に「墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)」が一部改正され、管理者のいないお墓から遺骨を取り出す手続きが簡略化されました。それ以前は改葬の手続きが複雑だったのですが、法改正のおかげでハードルが下がり、2000年以降になると本格的に広まっていきます。

墓地埋葬法が改正された当時はインターネットの黎明期でもあったため、パソコンがなかった時代と比べて情報を入手しやすくなっていました。その影響から、永代供養が世間に広まったと考えられます。

永代供養の種類

永代供養の種類

永代供養といっても、埋葬方法や墓石の有無によって違いが見られます。ここでは永代供養の種類ごとに特徴を解説しますので、参考にしてください。

合祀墓(ごうしぼ)

合祀墓とは、共同の埋葬スペースに血縁関係のない人々の遺骨をまとめて埋葬するお墓です。骨壺に納められている遺骨を取り出して供養するタイプのお墓で、永代供養墓のなかでは費用が安めといえます。埋葬方法の都合上、他の遺骨と混ざった状態で供養するため、大勢の人と一緒に供養するのに抵抗がある方には向いていません。

かつては寺院墓地や民営墓地で多く見られる埋葬方法でしたが、公営墓地でも合祀墓の区画を設けるところが増えています。最初から合祀墓を選ぶ方もいますが、墓じまいをして遺骨を合祀墓へ移す方も少なくありません。墓じまいは、従来のお墓を整理し、遺骨を他の場所に改葬する手続きであり、その多くが合祀墓に改葬されることが一般的です。

集合墓(しゅうごうぼ)

集合墓には個別の納骨スペースが設置されており、、合祀墓のように遺骨が混じらない状態で供養できます。「今すぐ遺骨を合祀したくないが、新しいお墓を購入していない」という方は、いったん集合墓に遺骨を預けてもいいでしょう。納骨スペースが必要なので合祀墓よりは費用が高めですが、一般墓と比べて安く抑えられます。

集合墓を選ぶとお墓の管理にかかる手間と費用を削減できるため、後継者がいなくても問題ありません。ただし集合墓を選んだ場合、一定期間が経過すると合祀に移行する場合がほとんどなので、そのような背景を考慮して契約することを推奨します。

個別型の永代供養墓

墓石のないお墓に抵抗がある方には、個別型の永代供養墓がおすすめです。見た目は普通のお墓ですが、管理者が亡くなっても寺院や霊園が遺骨の供養を引き受けてくれます。

墓石を購入する必要があるため、通常の永代供養と比べて費用は高めになる傾向があります。他の遺骨と合祀せず、別々の状態で永代供養をしてもらいたい方は検討する価値があるでしょう。

納骨堂

正確にはお墓ではないものの、最近ではそれに近い役割を担っているのが納骨堂です。納骨堂とは遺骨を納めるための施設で、なかには永代供養つきの納骨堂もあります。「墓石のないお墓」として利用する方は多く、お墓の後継者がいないという理由で選ばれやすいです。

【納骨堂の種類】

ロッカー型・見た目はコインロッカーと似ており、扉付きの収納部分が設置されている
・納骨スペースは狭いが、費用は安い仏壇型・仏壇と納骨スペースがセットになっている
仏壇型・仏壇と納骨スペースがセットになっている
・子どもや孫に継承できる
・納骨する人数やスペースにより費用は変わる
自動搬送型・カードで厨子(遺骨が納められている箱)を呼び出す
・費用は高めになる傾向にある
位牌型・位牌をひとつの空間にまとめて安置する
・遺骨は別の場所にまとめて保管する
・納骨堂のなかではもっとも費用が安いタイプ

上記のように、納骨堂は他の永代供養墓と比べてバリエーションが豊富です。また好みや予算に応じて好きなタイプを選べるのが利点といえます。納骨スペースは屋内にあるため、天候にかかわらず一年中お参りできるのも選ばれやすい理由です。

樹木葬タイプの永代供養墓

樹木葬とは、草木や花を墓標とするお墓で、シンボルツリーとしてよく植えられるのは桜やクスノキなどです。最近は永代供養を前提とした樹木葬のお墓が増えており、人気を集めています。一般墓よりは費用が安めで、埋葬する人数が増えるほど高くなります。

樹木葬は少人数の遺骨を埋葬するのに向いていて、単身世帯・夫婦のみの世帯・家族のみの世帯などが購入するケースが大半です。従来のようなお墓を建てたくない方に好まれる傾向があり、粉骨(遺骨を細かく砕くこと)を条件とする霊園も存在します。一般墓と同じく、遺骨を骨壺に入れた状態で埋葬する場合もあります。

他の永代供養墓と同じく、一定の期間が経過すると合祀に移行するケースが大半のため、契約する前にプランの内容を確認しましょう。

永代供養の費用相場

永代供養の費用相場永代供養は一般的なお墓より費用が安いとはいえ、種類によって金額に幅があります。

永代供養の種類金額
合祀墓5万~10万円
集合墓20万~60万円
個別型の永代供養墓50万~150万円
納骨堂10万~200万円
樹木葬タイプの永代供養墓5万~150万円

なるべく費用を抑えたい方は、合祀墓・集合墓を選ぶといいでしょう。なお上記の金額はあくまで目安のため、実際には前後する可能性もあります。詳細な情報を知りたい場合は、Webサイトで調べたり、資料請求したりすることをおすすめします。

永代供養のメリット

永代供養のメリット永代供養を選ぶメリットとして、お墓の維持費を減らせる点が挙げられます。その他にも、新たにお墓を購入する費用を抑えられたり、子どもや孫の世代にお墓の問題を残さずに済んだりするのも人気がある理由でしょう。ここでは永代供養の利点を詳しく解説します。

お墓の維持管理にかかる手間を減らせる

永代供養を選ぶと、お墓の維持管理にかかる手間が少なくなります。いわゆる「一般墓」と呼ばれるお墓だと、お参りの際に掃除や草むしりなどの手間がかかる他、年間の管理料が発生します。

お墓が遠方にある場合、お盆やお彼岸など限られた機会にしか帰省できないご家庭も少なくありません。そのたびに交通費や宿泊費などがかかるため、積み重なると負担になります。若い世代ほどお墓に対する意識が薄く、お墓の維持管理を重荷に感じる可能性もあるでしょう。

一般的なお墓を購入するより費用が安くなる

永代供養のお墓を契約すると、管理費以外の費用は基本的に発生しません。そのため、お墓にかかる支出が少なくなります。ただし、個別供養型の永代供養墓を購入すると、一般墓と同じくらい費用がかかるでしょう。

通常のお墓を購入する場合、墓地と墓石の費用が高くなる傾向にあります。墓石の種類や墓地の状況により工事費用が変わるものの、墓石のみ建てる場合でも総額で100万円以上になるかもしれません。お墓の費用を抑えたいなら、永代供養を選ぶといいでしょう。

宗教や宗派を問わず供養できる

永代供養では、宗教や宗派を問われることは少なく、在来仏教に限らず広く受け入れてくれる霊園や寺院墓地が大半です。

なかには在来仏教の信者であることを条件として永代供養を引き受けているところもありますが、その場合でも、お寺の檀家になればお墓の契約ができる可能性があります。ただし、霊園や墓地により宗教・宗派に対する考え方は異なるため、事前に確認しましょう。

永代供養のデメリット

永代供養のデメリット永代供養を選ぶ際は、メリットだけでなくデメリットも知っておく必要があります。永代供養を選ぶと元のお墓には戻せないため、「こんなはずではなかった」と後悔するかもしれません。ここでは、3つのデメリットを解説します。

遺骨が合祀されると取り出せなくなる

永代供養は永久に遺骨を供養してもらえるわけではなく、一定の期間が経過すると合祀される場合がほとんどです。昨今は永代供養の需要が伸びていることもあり、埋葬場所を確保するためにも必要な対応といえるでしょう。

遺骨が合祀されると、別の場所に埋葬したり、分骨したりすることができなくなります。永代供養を選んだものの、気持ちや環境の変化から「お墓を残せばよかった」と後悔するかもしれません。もし迷いがあるなら、最初から合祀するタイプの永代供養墓は避けたほうがいいでしょう。

手を合わせる対象がなくなる

永代供養墓には多数の遺骨が埋葬されているため、お墓に手を合わせてもお参りしている感覚が薄くなりがちです。墓石がなくなることで「なんとなく違和感がある」と思う方がいても不思議ではありません。

樹木葬の場合も同様で、お墓はあってもお墓らしさを感じられない可能性があります。お墓といえば墓石を想像する方が多いため、草木や花に囲まれた墓地になじみがないのは当然でしょう。

親族の合意を得られない場合もある

親族のなかには、墓じまいして永代供養することに反対する方もいるでしょう。お墓に関するこだわりは人それぞれなので、世代により認識の相違が生じるケースが想定されます。

また、なかには「子どもや孫にお墓の面倒をかけたくないから、早めに墓じまいしよう」と考える年配者もいるでしょう。親族としっかり話し合い、承諾してもらうことが大切です。

永代供養に切り替えるための手続き【墓じまいの流れ】

永代供養に切り替えるための手続き【墓じまいの流れ】もともとのお墓がある場合、墓じまいの手続きを済ませてから永代供養に切り替える必要があります。ここでは、墓じまいの具体的な手順を解説します。

関連記事:墓じまいとは?平均費用や手続きの流れを解説!

家族や親族に相談して了承を得る

現在のお墓を処分するにあたり、家族や親族に相談してから手続きを開始します。関係者の了承を得てからでないと、のちのちトラブルに発展するかもしれません。

無断で墓を処分したことで家族との関係が悪化する、墓じまいの費用負担で揉めるなど、トラブルになる事例は後を絶ちません。きちんと話し合いをしましょう。

霊園や菩提寺に墓じまいの相談をする

身内の了承を得られたら、次は霊園や菩提寺に墓じまいの相談をしてください。寺院墓地の場合は檀家をやめることになるため、住職に墓じまいの意向を伝える際は注意が必要です。住職が気を悪くする恐れがあるため、決定事項だとしてもあくまで「相談」という形式で話を切り出すといいでしょう。なお、必ずではないものの、寺院墓地の場合は離檀料が発生する可能性があります。

お寺に出向いたらまず長年お世話になったお礼を述べ、墓じまいしなければならない理由を説明します。直接お寺を訪ねるのが最善の方法ですが、難しければ手紙と電話で誠意を伝えましょう。

遺骨の受け入れ先となる永代供養墓を探す

お墓の管理者の合意を得られたら、遺骨の埋葬先となる永代供養墓を探します。お墓を選ぶ際は、以下のようなポイントをチェックしましょう。

  • お墓へのアクセス
  • 費用に関する情報(金額・支払方法・追加費用の有無)
  • 霊園の施設(法要の会場や休憩所)
  • 宗教や宗派
  • 経営主体(民間・公営など)

これらの情報を吟味して、ニーズに合うお墓を探してください。不明な点があれば、資料を取り寄せたり、インターネットで情報を検索したりしましょう。

お墓を撤去する業者を探す

墓石の撤去工事をするには、石材店の業者に依頼する必要があります。なかには指定石材店がある民営霊園・墓地もあるため、業者を探す前に確認しましょう。公営の霊園・墓地であれば、自由に石材店を選べます。

指定石材店があると業者を探す手間が省けるものの、希望する会社がある場合は自由に選べないことに対して不満を感じるかもしれません。また他社より高額な費用を提示される可能性もあります。自分で業者を選べるのであれば、複数の会社に依頼して相見積もりを取り、費用の違いを比較しましょう。

行政手続きをおこなう

墓じまいの手続きに必要な書類は、以下のとおりです。

  • 埋葬証明書:現在のお墓の管理者に発行してもらう
  • 受入証明書:新しいお墓の管理者に発行してもらう

上記の書類をそろえて現在のお墓がある自治体の役所に出向き、改葬許可申請書を提出すると「改葬許可証」が発行されます。なお、郵送でも申請可能です。

閉眼供養(へいげんくよう)をおこなう

閉眼供養とはお墓から魂を抜く儀式で、住職や僧侶に読経してもらいます。謝礼として3万~10万円のお布施を包み、閉眼供養の当日に渡しましょう。

お布施の相場はお寺との関係や地域によるため、迷ったら「他の方はどのくらい包んでいますか?」と聞くのが確実です。

お墓の解体工事を実施する

石材店に墓石の解体工事を依頼して、お墓を取り壊しましょう。石材店に費用の見積もりを依頼して、どの程度かかりそうか見当を付けておきます。

指定石材店がある霊園や墓地の場合は自分で工事業者を選べませんが、それでも見積もりは依頼しましょう。想定していたより費用がかさむケースもあるため、総額の費用を把握しておく必要があります。

新しいお墓に遺骨を埋葬する

改葬先の永代供養墓に遺骨を埋葬したら、墓じまいの手続きは終了となります。合祀墓・納骨堂・樹木葬のお墓であれば、何もする必要はありません。

新しくお墓を建てる際には「開眼供養(かいげんくよう)」をおこない、墓石に魂を入れる工程が加わります。このときにも謝礼が必要ですので、閉眼供養と同じくお布施を包んでお寺に渡してください。

なお、墓じまいの代行業者に一連の手続きを依頼することも可能です。何らかの事情によりご自身で墓じまいをするのが難しい場合は、業者に手続きを代行してもらってもいいでしょう。

永代供養に関するよくある質問

永代供養に関するよくある質問最後に、永代供養に関するよくある3つの質問を紹介します。永代供養の期間や宗派による違いなど、わからないことがあればぜひ参考にしてください。永代供養のお墓を選ぶ際の参考になるでしょう。

永代供養の期間はどのくらいですか?

永代供養には期限があり、一般的には三十三回忌までとする霊園が多い傾向にあります。なかには十七回忌・五十回忌などを区切りとして遺骨を合祀するところもあるようです。

永代供養の希望者が多ければそれだけスペースが必要になるため、5~10年くらいで合祀に移行する可能性も考えられます。お墓を契約する前にプランの内容を調べましょう。

永代供養はどんな人におすすめですか?

永代供養は、以下のような方におすすめです。

  • お墓の維持管理にかかる手間や費用を減らしたい
  • 子どもや孫にお墓のことで面倒をかけたくない
  • お墓が遠方にあり、お参りしやすい場所に移したい
  • 単身世帯で子どもがおらず、自分の代でお墓の管理者がいなくなる

家族の規模が縮小している現代では、次世代にお墓を託すのが難しくなっています。早いうちに墓じまいしてお墓の問題を解決したい方は、永代供養を検討してみてもいいかもしれません。

宗派によって永代供養に違いはありますか?

宗派が違うからといって、基本的には永代供養の趣旨に違いは見られません。寺院墓地の場合は、宗派を問わず遺骨を受け入れるものの、檀家になることを条件とするお寺も存在します。

ちなみに浄土真宗では「人が亡くなるとすぐ成仏する」と考えられており、そもそも永代供養の概念がありません。その代わりに「永代経(えいたいぎょう)」と呼ばれる風習があり、永きにわたりお経を読み続けます。

永代供養に関する悩みがあれば終活の専門家に相談しよう

永代供養に関する悩みがあれば終活の専門家に相談しよう少子高齢化の進展や家族の規模が小さくなったことにより、先祖代々のお墓を受け継いで守る文化は過去のものになりつつあります。結果としてお墓を維持できない家庭が増え、墓じまいして永代供養を選択する方も増加しました。

お墓の維持管理には手間と費用がかかるため、負担に感じる方は少なくありません。また無縁墳墓に関する情報が目につきやすくなったことで、できるうちに墓じまいを検討する方が増加していると考えられます。

お墓に関する悩みがあれば、早めに永代供養への移行を検討してみてはいかがでしょう。「一般社団法人 終活協議会 / 想いコーポレーショングループ」では、終活無料セミナーを開催しています。お墓に関してはもちろん、それ以外のお悩みに関しても相談をお受けします。お気軽にお問い合わせください。

終活無料セミナー(心託説明会)

監修

bcj

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