2023年4月4日

おすすめしたいエンディングノートの書き方を業界関係者が解説

おすすめしたいエンディングノートの書き方を業界関係者が解説の画像

 2011年に公開された「エンディングノート」は、ドキュメンタリー映画としては異例のヒットを記録した中で、エンディングノートと言う言葉が認知されてきているかと思います。

しかし、エンディングノートという言葉は知っていても、「具体的にどの様な物か」「どう書けば良いのか」を理解している人は多くありません。エンディングノートを知っていても実際に作成している人は少数です。

2021年に行われた終活に関する調査(「NTTファイナンス株式会社終活に関する実態調査2021」)では、エンディングノートの利用率はわずか8%。終活をしている人の中でも4人のうち3人は利用していませんでした。

しかし、エンディングノートは終活を行う中で、残された遺族に対する負担を軽減する為には残すべき必要な書類です。

そこで本記事では、エンディングノートに「書く内容」や「書き方」を中心に、書いた後の「管理方法」や「財産に関する情報を記載するうえで気を付ける事」等の細かい内容も解説します。

エンディングノートとは?

エンディングノートとは、自身に「もしもの事があった時」に備えて情報や希望を書き留めておくノート(書類)で、介護や葬儀について本人の考えや死後の様々な手続きについて、遺族が困らない様に「記録として残すノート」になります。

エンディングノートは特に決まった書き方はありません。普通の大学ノート等に書くこともできますが、エンディングノートを書く為の「専用ノート」も市販されています。

エンディングノートと遺言書の役割について

エンディングノートと遺言書は「同じ物ではないか?」と思う方がいるかもしれませんが、異なる目的を持っています。

簡単に言うと、エンディングノートは自身や家族に関する情報を残す事ができる書類ですが、法的効力はありません。一方、遺言書は法的な手続きに関する遺言を残す事ができる書類になります。

エンディングノートの主な役割

エンディングノートは亡くなった後に残された遺族や友人が、自身の事や遺族に関する情報や意思を知らせる為の書類です。

主に「財産内容・医療情報・葬儀・遺品整理に関する希望」や「家族に対する想い、気持ち」等、書きたい事を自由に書き残す事ができます。

遺言書の主な役割

遺言書は、財産分与や後見人の指定等の「財産や法的手続きに関する遺志」を書き残す書類です。遺言書は法的に認められる書式に従って作成し、公証役場で認証を受ける必要があります。

遺言書を作成する事で、亡くなった後に財産分与が円滑に進むだけでなく、家族間のトラブルを未然に防ぐことができます。

エンディングノートに書く内容11項目

エンディングノートに書く内容は、決まりが無いので自由に書いて頂いても構いませんが、
一般的には以下11項目について記述していきます。

  1. 本人の基本情報
  2. 本人の医療情報
  3. 財産の情報
  4. 医療・介護の希望
  5. 葬儀・お墓の希望
  6. 相続・遺言書について
  7. 死後の様々な手続きについて
  8. ペットについて
  9. 家族・親族へのメッセージ
  10. 過去の記録・思い出
  11. これからの計画・やりたいこと

1.本人の基本情報

最初に自分自身の基本的な情報を書きます。

  • 氏名
  • 生年月日
  • 現住所
  • 固定電話番号
  • 携帯電話番号
  • 本籍地
  • 個人番号(マイナンバー)
  • 家族構成
  • 学歴
  • 職歴
  • 資格・免許

上記の情報は、死後の各種手続きを始めるのに必要な情報です。本籍地は家族も記憶が曖昧な可能性がある為、正確に記録しておきましょう。

また、家族構成は入院の際に病院から尋ねられる事があります。兄弟や別居している子供・孫までを図にしておくと、いざという時に便利です。

2.本人の医療情報

病気になった時に備えて、現在の健康状態や緊急時にどの様に対応するかについて、普段から整理しておかなければなりません。以下の様な情報をエンディングノートに書き留めておくと良いでしょう。

  • 身長・体重・血圧・血液型など
  • かかりつけ医
  • 持病、既往歴、常用薬、アレルギー
  • 健康保険証の情報
  • 介護保険証の情報
  • 臓器提供の意思表示

3.財産の情報

  • 預貯金の情報(金融機関名、支店名、口座番号、通帳・印鑑・カードの保管場所)
  • 不動産の情報
  • 金融商品の情報(株式、投資信託など)
  • その他資産(ゴルフ会員権、貴金属など)
  • 生命保険の情報
  • 損害保険の情報
  • 年金の情報
  • クレジットカードの情報
  • 借金・ローンの情報

 財産情報に関しては、エンディングノートの盗難や紛失と言った「万が一の場合」を想定して記入しなければなりません。

そのため、銀行口座の暗証番号等は「別の場所に保管する」等の対策を取り、保管場所をエンディングノートへ記載しておきましょう。

また、借金やローン等、「負の資産」も明記しましょう。遺族が後から借金やローンを知る事で、相続人が予期せぬ借金を追ってしまう可能性があったり、相続面での紛争が発生する可能性があります。

残された遺族に負担を掛けない為にも負債面を記載する事は必須事項であり、借金の返済方法や処理方法についても明確に記載しておく事が望ましいです。

4.医療・介護の希望

医療や介護に関する内容は、冷静に判断できる状態の時に家族とよく話し合う事が大切であり、話し合った内容をエンディングノートへ記載しておきましょう。

また、認知症等で判断能力が低下した場合の事も考えておきましょう。「誰に介護して欲しいか?」「施設への入所を希望するのか?」等も考える必要があり、エンディングノートへ記載する必要性があります。

あと、「不治の病の告知」や「終末期の延命治療」の是非については、家族に共有する事が重要な為、エンディングノートへの記載は必須にする事をおすすめします。

5.葬儀・お墓の希望

  • 信仰する宗教・宗派
  • 菩提寺の情報
  • 葬儀の形式・規模
  • 葬儀に呼ぶ人・呼ばない人
  • 遺影に使う写真
  • 納骨の方法
  • 墓地の情報

近年は葬儀や納骨の形態が多様化しています。ごく身近な人達だけで行う家族葬や、樹木葬・海洋散骨等を選ぶ人も増加傾向です。自身の葬儀や供養の方法に関して希望があれば、エンディングノートに記載しましょう。

また、葬儀の際には、遺影に使う写真の提出を葬儀会社から求められます。葬儀の準備で慌しい中、遺影にふさわしい写真を探すのは遺族にとって大きな負担です。

あらかじめ本人が気に入った写真を選んでおくと家族も安心です。エンディングノートに写真の保管場所も書いておきましょう。

6.相続・遺言書について

先に述べたように、エンディングノートに遺産分割の方法を記しても法的拘束力はありません。

エンディングノートには遺言書の有無を記しておきましょう。遺言書を作成している場合は、「どの様な形式なのか?(自筆証書・公正証書・秘密証書)」「保管先の記載」「専門家に依頼した場合はその連絡先」を記録しておきましょう。

7.死後の様々な手続きについて

人が亡くなると、様々な手続きが必要です。健康保険の資格喪失届や世帯主の変更等、
役所の手続き以外の「家族が忘れがちな物」について以下で紹介します。

  • クレジットカードの契約
  • 携帯電話の契約
  • サブスクリプションサービスの契約
  • その他インターネットサービスの情報(ID、パスワード等)
  • 仮想通貨の情報
  • SNSのアカウント情報

最近では、色々なサブスクリプションサービスが生活に根付いてきました。死後気付かずに放置すると、そのまま料金の引き落としが続く可能性があります。

また、料金以外の問題も重要です。クラウドサービスを利用してオンラインで大切な写真や動画を保存している場合は、データのバックアップを取らなければなりません。

あとは、仮想通貨等の金融資産を保有している場合は、解約や換金の手続きも複雑なうえ、相続税の対象になる為、注意が必要です。

現在契約しているサービスを全てリストアップし、解約やバックアップ方法や換金等の方法についても書き留めておきましょう。

8.ペットについて

一人暮らしでペットを飼っている人の場合、自身が亡くなった後ペットがどうなってしまうのかは、大変気になる問題です。もしもの時に備えて安心出来る引き取り先を前もって決めておかなければなりません。

誰に引き取ってもらうかに加えて、ペットの「性格・好物・病歴」等をエンディングノートへ書いておく事で、新しい飼い主にも役立ちます。

9.家族・親族へのメッセージ

普段、面と向かっては伝えられない家族への感謝の言葉を文章にしておきましょう。
子供や孫に対しては、小さかった頃のエピソード等を伝えるのもおすすめです。

遺されたメッセージは、家族にとってかけがえのない思い出になることでしょう。

10.過去の記録・思い出

市販されているエンディングノートの大半は、自分史の作成に多くのページが割かれている物があります。今までの人生を振り返る事は、残りの人生をさらに充実して行く為にも大切な事です。

家族旅行等の記録やエピソードを中心に、「思い出」「気持ち」「想い」をエンディングノートの自分史へ残しましょう。出来れば、当時を振り返れる写真も一緒に添付すると良いでしょう。

11.これからの計画・やりたい事

今までの人生を振り返るうちに「やり残している事」や「今後の新たな目標」が浮かんでくるかもしれません。

終活は死後の事を考えるだけではなく、今後の人生をいかに充実して送るかについて考える事でもあります。

「今まで行きたかったのに行けなかった場所への旅行」や「長年連絡を取っていない旧友に会う」等、思いつくままに「これからの計画・やりたい事」をエンディングノートで文章にしてみましょう。

エンディングノートをスムーズに書くコツを紹介

エンディングノートを買ったものの、いざ書こうとすると中々筆が進まないものです。
あまり難しく考えず、以下のポイントを参考にして書き始めて行く事をおすすめします。

書ける項目から書く

市販のエンディングノートはページ数が多く、沢山の項目がある為、全部の項目を埋めるのは大変です。

そこで、まずは書きやすい項目から埋めていきましょう。最初から順番通りに書く必要もありません。気軽な気持ちで、まずは最初の一歩を踏み出すことが大切です。

最初から完成を目指さない

エンディングノートを書き始めたら全ての項目を埋める必要はありません。人によっては必要無い項目もあるかもしれません。

また、書きたい内容であっても最初は考えがまとまらず、満足した内容が書けない事もあるでしょう。エンディングノートは、一回で完璧な物を作るより、「書きたい内容が思い浮かんだら書いてみよう」位の気軽な気持ちで書き始めるのがおすすめです。

また、書いた後に考えが変わったり、情報の更新が必要になる項目もあります。いつでも書き直せるように鉛筆や消せるボールペンで書くのがおすすめです。

エンディングノート作成後に気をつけること

エンディングノートは、作成することが目的ではありません。作成したエンディングノートの「内容を残された遺族に伝えること」が目的である為、以下の内容に注意しましょう。

定期的に見直す

時間が経過するうちに、エンディングノートに記載した内容の修正や追加が必要になる場合もあります。せっかく作成したエンディングノートの情報が古いままでは、いざという時に役立たなくなる事がある為、定期的な見直しは行いましょう。

1ヶ月~3ヶ月に一回、大まかに内容を確認して「明らかに情報を更新しなければいけない内容」をチェックしていきながら、3ヶ月~半年に一回は、細かい内容を見直すのがおすすめです。

保存場所を伝える

作成したエンディングノートが、自身の死後誰にも見つからなければ元も子もありません。家族にはエンディングノートの保存場所を伝えておきましょう。

ただ、重要な金融情報や個人情報が記載されている為、簡単に見つかる場所に保管するのは避けて、家族だからこそ手の届く「金庫等の鍵が必要な場所」「収納場所の細かい所」へ保存しておくのがおすすめです。

エンディングノートは終活の第一歩

エンディングノートを書く事は、終活としてあなたが何をするべきかを導く為に必要な「終活の第一歩を踏み出すこと」になるかと思います。

そこで、終活を始めなければならないと考えていても、何から手を付ければ良いのか分からない方は、エンディングノートを書く事から始めてみてはいかがでしょうか?

一般社団法人 終活協議会では、資料をご請求頂いた方全員に司法書士が監修したオリジナルエンディングノートを無料でプレゼントしております。下記ページよりオンラインでお申し込み頂けますので、お気軽にご請求ください。

一般社団法人 終活協議会|資料請求フォーム
※ページ下部に問い合わせフォームがあります。

また、エンディングノートを作成していく中で「書き方が分からない」、エンディングノートを書く前に「必要な知識を付けておきたい」方には「エンディングノートセミナー講師認定資格」の取得がおすすめです。

オンラインで受講するだけで、「エンディングノートセミナー講師」の認定資格が取得できます。自身のエンディングノート作成に役立つだけでなく、資格取得者が「エンディングノートの書き方セミナー」や「エンディングノートに関するワークショップ」を開催する等、資格を有効利用する事も可能です。

資格取得後の会費0円・取得費用30,000円のみ、超高齢社会に入ったこれからの時代に大変有効的な認定資格になるかと思います。

エンディングノートセミナー講師については以下のページをご覧ください。

一般社団法人 終活協議会|エンディングノートセミナー講師認定資格

最後に、終活やエンディングノートについて不安やお悩み事がございましたら、お電話からお問い合わせください。専門スタッフが誠心誠意お答え致します。

監修

菊田あや子
菊田あや子終活協議会理事
下関市出身、日本大学芸術学部放送学科卒業。
在学中にラジオでプロデビューしワイドショーリポーターで全国を飛び回る。90年代のグルメブーム以降、「日本一食べている女性リポーター」となりグルメ・温泉・旅番組で、持ち前の明るいキャラクターで活躍。
近年は「食育」「介護」等の内容で全国に講演活動中。
2020年最愛の母を94歳で看取り、一般社団法人終活協議会と出会い理事に就任。
還暦のおひとり様であり終活の必要性を広く発信中。

この記事をシェアする