2025年9月18日

ペット終活とは?エンディングノート・信託・葬儀を専門家が解説

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ペット終活は「別れの準備」ではない

「ペット終活」と聞いて、どんなイメージを持ちますか?

多くの方が「死後の準備」を想像するかもしれません。でも実際は違います。ペット終活の本質は、今この瞬間から始まる安心づくりです。

飼い主が高齢になる。単身世帯が増える。犬や猫の寿命が延びる。

こうした社会の変化の中で、「もし自分に何かあったら…」という不安は、決して特別なものではありません。入院、介護施設への入居、突然の事故。人生には予期せぬ出来事がつきものです。

ペット終活とは、そんな「万が一」に備えながら、今日を安心して過ごすための設計図を描くこと。飼い主とペット、双方の幸せを守るライフプランです。

なぜ今、ペット終活が必要なのか?

データが示す現実

犬や猫の平均寿命は、15年前と比べて2〜3年延びています。20歳近くまで生きるケースも珍しくありません。

嬉しいニュースです。でも同時に、「自分よりペットの方が長生きする」可能性も高まっている。これが現実です。

引き取り手が見つからない問題

実際に起きている事例を見てみましょう。

  • 飼い主が突然入院。ペットの世話ができなくなった
  • 介護施設に入居することになり、ペット同伴不可だった
  • 飼い主が亡くなり、親族間で引き取りを巡ってトラブルに

こうしたケースは、決して他人事ではありません。

エンディングノート 書き方のコツ

「完璧」を目指さない

エンディングノートは、堅苦しく考える必要はありません。思い出すところから、少しずつ書き始めればいいんです。

終活協議会では、ペットの終活を学びながら必要項目を記入できるガイドブックを無料でプレゼントしています。是非、ご活用ください。

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ペットエンディングノートに書くべきこと

最低限、以下の情報を残しておきましょう。

基本情報

  • 名前、性別、生年月日、マイクロチップ番号
  • 性格(人懐っこい、警戒心が強いなど)
  • 好きな遊び、苦手なこと

健康・医療情報

  • かかりつけの動物病院(電話番号・住所)
  • これまでの病歴、現在の治療内容
  • アレルギー、投薬情報
  • ペット保険の加入有無・保険会社名

日常のケア

  • 普段の食事(フードの種類、回数、量)
  • 散歩の頻度、お気に入りのコース
  • トイレの場所、シャンプーの頻度

緊急連絡先

  • 家族、信頼できる友人の連絡先
  • 引き取ってくれる可能性のある人のリスト

紙?デジタル?どちらが良い?

それぞれにメリットがあります。

手書きノート 想いを込めやすい。写真を貼ったり、イラストを添えたりできる。温かみがある。

デジタルノート 家族との共有が簡単。更新もしやすい。バックアップを取れば紛失の心配もない。

おすすめは併用です。手書きで残した想いをスキャンして保存する。家族がアクセスしやすい場所にデータを置く。

大切なのは、「誰が」「どこに」保管しているかを明確にしておくこと。せっかく書いても、誰も存在を知らなければ意味がありません。

更新を忘れずに

エンディングノートは「書いたら終わり」ではありません。

食事の内容が変わったら。新しい病気が見つかったら。かかりつけ医が変わったら。

年に1回、ペットの誕生日などに見直す習慣をつけると良いでしょう。

ペット葬儀 費用と選び方

火葬方法による費用の違い

ペットの葬儀と一口に言っても、方法によって費用は大きく変わります。

個別火葬(立ち会い型) 飼い主が最後まで見届け、遺骨をすべて持ち帰れる。小型犬・猫で3〜5万円が相場。

合同火葬 複数のペットをまとめて火葬。遺骨は合同供養塔に納められる。費用は1〜2万円台から。

訪問火葬(移動火葬車) 専用車が自宅まで来てくれる。高齢の飼い主や外出が難しい方に人気。小型犬で3〜6万円前後。

ペット供養の選択肢

火葬後、どのように供養するかでも費用は変わってきます。

供養方法概要費用目安継続費用
自宅供養遺骨を手元に置き、仏壇やメモリアルコーナーで供養遺骨壷・仏具代で数千〜1万円なし
納骨堂供養ペット霊園や寺院の納骨堂に安置初期3〜5万円年間管理費5千〜1万円
合同供養塔多くのペットが一緒に埋葬・供養される初回1〜3万円なし〜低額
樹木葬・散骨自然に還すスタイル2〜5万円なし

納骨堂を選ぶ場合は、年間管理費の有無を必ず確認してください。霊園が閉鎖になった事例もあるため、長期的な視点で選ぶことが重要です。

信頼できる葬儀社の見分け方

チェックすべきポイントは3つ。

  1. 動物取扱業の登録があるか(自治体への届出が必須)
  2. 見積もりは明確か(追加費用が発生しないか事前確認)
  3. スタッフの対応(丁寧に説明してくれるか、質問に誠実に答えるか)

複数の業者から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。

ペット信託とは?仕組みとメリット

お金の面で「確実に」守る方法

ペット信託は、飼い主が亡くなった後も、ペットの飼育費を法的に守る仕組みです。

信頼できる第三者(受託者)に資金を預け、その資金が「ペットの飼育目的以外」に使われないよう契約で縛る。これがペット信託の基本構造です。

遺言だけでは足りない理由

「遺言に書いておけば大丈夫では?」

そう考える方もいるでしょう。確かに遺言も有効です。でもペットは法律上「物」として扱われるため、直接「相続させる」ことはできません。

さらに、遺言に書いたとしても、その資金が本当にペットのために使われるかは保証されません。

だからこそ、遺言とペット信託を組み合わせるケースが増えています。遺言で「誰に託すか」を明記し、信託で「どう使うか」を法的に固める。これが最も確実な方法です。

ペット保険と貯蓄の重要性

老犬・老猫になると、医療費が急増します。

手術費用が数十万円。定期的な通院で月に数万円。こうした出費は、決して珍しくありません。

ペット保険に入っておく。もしくは専用の積立貯蓄を用意しておく。これも立派な「生前対策」です。

身元保証サービスとの連携

最近では、飼い主が入院や死亡した際に、ペットの引き取りから世話、供養までをサポートする身元保証付きサービスも登場しています。

こうしたサービスの活用も、選択肢の一つとして検討する価値があります。

ペット終活 チェックリスト

「何から始めればいいか分からない」

そんな方は、このリストを参考にしてください。できることから一つずつ。完璧を目指す必要はありません。

  • エンディングノートを書き始める
  • かかりつけ病院・緊急連絡先を整理する
  • 引き取り先(家族・友人・団体)を検討する
  • 飼育費の目安を確認し、信託や貯蓄を考える
  • 葬儀・供養の希望をメモする
  • ノートや書類の保管場所を家族と共有する

まとめ|ペット終活で「今」を安心に変える

ペット終活は、「別れの準備」ではありません。

「この子の幸せを、最後まで守りたい」

その想いを、具体的な行動に変えていくプロセスです。エンディングノート、信託、葬儀の準備。それらはすべて、あなたの想いを形にする手段にすぎません。

大切なのは、今この瞬間から始めること。

もし「どこから手をつければいいか分からない」という方は、まずは無料のペットの終活ガイドブックから始めてみてください。一歩を踏み出すきっかけになるはずです。

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監修

竹内義彦
竹内義彦一般社団法人 終活協議会 理事
1969年生まれ、大阪出身。
2012年にテレビで放送された特集番組を見て、興味本位で終活をスタート。終活に必要な知識やお役立ち情報を終活専門ブログで発信するが、全国から寄せられる相談の対応に個人での限界を感じ、自分以外にも終活の専門家(終活スペシャリスト)を増やすことを決意。現在は、終活ガイドという資格を通じて、終活スペシャリストを育成すると同時に、終活ガイドの皆さんが活動する基盤づくりを全国展開中。著書に「終活スペシャリストになろう」がある。

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