「死後事務委任契約」でありがちなトラブルの例丨発生する原因や対策も解説

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「死後事務委任契約」のトラブルには、委任内容の不履行や相続人との対立、預託金の使い込みなど6つの類型があります。契約内容を明確にし、家族へ事前に伝えておくことが予防につながります。本記事では、具体例と対策をわかりやすく解説します。

「死後事務委任契約」とは、自分が亡くなった後の葬儀や行政手続き、遺品整理などを、生前に第三者へ委任する契約です。

身寄りのない方や、家族に負担をかけたくない方にとって心強い制度ですが、契約内容が不明確だったり、受任者の信頼性に問題があったりすると、さまざまなトラブルが起こる可能性があります。

本記事では「死後事務委任契約」で起こりやすいトラブルの例と、その原因、具体的な防止策について解説します。

そもそも「死後事務委任契約」とは?

「死後事務委任契約」とは、自分の死後に発生する手続きを、あらかじめ信頼できる第三者へ依頼しておくための契約です。

人が亡くなると、葬儀の手配や役所への届け出、医療費の精算、公共料金の解約など、さまざまな事務手続きが発生します。通常は家族や親族が対応しますが、身寄りのない方や、家族に負担をかけたくない方にとっては、大きな不安になりやすい部分です。

「死後事務委任契約」で依頼できる主な内容には、遺体の引き取り、葬儀や納骨の手配、病院や施設への費用の精算、賃貸住宅の明け渡し、行政機関への届け出、公共料金の解約手続きなどがあります。

死後事務委任契約と遺言書・身元保証契約の違い

「死後事務委任契約」と混同されやすいものに「遺言書」や「身元保証契約」があります。それぞれ役割や対象となる時期が異なるため、目的に合わせて使い分けることが大切です。

種類主な役割対象となる時期
「死後事務委任契約」葬儀、納骨、行政手続き、公共料金の解約などを第三者に依頼する死後
「遺言書」財産を誰にどのように分けるかを指定する死後
「身元保証契約」入院や施設入所時の保証人を依頼する生前

とくに注意したいのは、遺言書との違いです。遺言書に葬儀や納骨の希望を書くことはできますが、財産分配以外の内容には法的拘束力がないとされています。

一方「死後事務委任契約」は、受任者に契約内容を実行する義務が生じる契約です。

「身元保証契約」は生前の入院や施設入所に備える契約のため、死後の手続きを任せたい場合は「死後事務委任契約」を別途検討しましょう。

こちらの記事では「死後事務委任契約」について解説しています。

締結するメリット・デメリットや契約を検討するタイミングも取り上げているため、

ぜひあわせてご覧ください。

「死後事務委任契約」にまつわるトラブルの例

2025年に株式会社NEXERと共同で実施したアンケート調査によれば、終活に関する不安や困りごととして「死後の手続きを頼める人がいない」と回答した方は全体の7.6%でした。多いか少ないかの受け止め方は人それぞれですが、本人にとっては重大な問題です。

その点、周囲への連絡や葬儀、行政手続き、身の回りの整理などを代行してくれる「死後事務委任契約」は心強いサービスといえます。

ただし、契約をめぐってトラブルが起こる可能性もあるため、注意が必要です。まずは、起こりやすいトラブルの例を確認しておきましょう。

アンケート引用元:https://shukatsu-kyougikai.com/news/5028/

委任内容が正しく遂行されなかった場合のトラブル

契約で定めた内容が、正しく実行されないケースがあります。

たとえば、契約書に「家族葬で行う」と明記されていたにもかかわらず、簡素な直葬で済まされたり、希望していた寺院で納骨が行われなかったりすることがあります。

このようなトラブルの原因として挙げられるのが、契約書の内容が曖昧で、具体性に欠けていたことです。

「葬儀を依頼する」とだけ書かれていて、葬儀の規模や予算まで明記されていないと、受任者の判断に委ねられます。その結果、委任者の希望とは異なる形で執行されてしまうのです。

受任者と相続人の関係をめぐるトラブル

受任者と、委任者の相続人との間で、感情面や金銭面の対立が生じるトラブルも少なくありません。とくに感情面で対立しやすいのが、葬儀の方法や納骨先をめぐる問題です。

たとえば、委任者が「海への散骨を希望する」と契約していても、相続人である家族は「先祖代々の墓に納骨して供養したい」と考えることがあります。

また、金銭面でのトラブルが起こることもあります。遺品整理を委任された受任者が、財産的価値のある物を処分したことで、相続人から「遺産を勝手に使った」と非難されるケースもあります。

親族が契約を詳しく把握していなかった場合のトラブル

委任者が家族や親族に「死後事務委任契約」の存在を伝えていなかったために、実務上の混乱が起こることもあります。とくに深刻なのが、二重契約が発生するケースです。

親族が独自に葬儀社と契約した後に「死後事務委任契約」の存在が判明すると、キャンセル料の発生や責任の所在をめぐってトラブルに発展します。

無資格者に関するトラブル

死後事務を扱う受任者の信頼性や、組織としての安定性に関するトラブルも増えています。個人や小規模な任意団体が受任者となった場合、専門知識の不足により、必要な手続きが正しく行われないことがあります。

ここで重要なのは、単に「資格の有無」だけでなく、信頼できる法人組織かどうかという視点です。一般社団法人のように法人格を持ち、専門家と連携している組織であれば、各手続きを適切に進めやすい体制が整っています。

近年は、終活ブームにともない、死後事務サービスを提供する事業者が増えていますが、なかには経営基盤が十分でない業者も存在します。

預託金や解約金に関するトラブル

「死後事務委任契約」では、葬儀費用や各種手続きの費用を事前に受任者へ預けておく「預託金」の制度があります。この預託金をめぐるトラブルは少なくありません。

とくに悪質なのは、受任者による預託金の使い込みです。

また、契約を途中で解約したいと考えた際に、解約金をめぐるトラブルが起こることもあります。契約書に、解約時の預託金の返還方法や手数料について明記されていないと「全額返金されると思っていたのに、高額な解約金を差し引かれた」という問題が生じます。

委任した会社に関するトラブル

法人や団体を受任者として選んだ場合でも、その組織自体に起因するトラブルが発生することがあります。とくに深刻なのは、受任者である会社や団体が倒産、破産してしまうケースです。

「死後事務委任契約」は、契約から実際の執行まで数年から数十年のタイムラグが生じるのが一般的です。その間に受任者の経営状況が悪化し、事業を継続できなくなることもあります。

会社が倒産すると、契約が履行されず、預託金も全額回収できない可能性があります。

なぜ「死後事務委任契約」でトラブルが起こるのか

「死後事務委任契約」でトラブルが起こりやすいのは、契約の内容そのものよりも、契約が実行されるタイミングや確認の難しさに理由があります。

主な原因は、次の3つです。

原因内容
本人が確認できない契約の効力が発生するのは委任者の死後です。実際に手続きが行われる時点では本人が亡くなっているため、契約どおりに対応されているかを確認できません。
契約から実行まで時間が空く元気なうちに契約するケースが多く、実際に手続きが行われるまで数年から数十年かかることもあります。その間に本人の希望や生活状況、受任者側の体制が変わる可能性があります。
契約内容が曖昧になりやすい法律で決まった統一書式がないため、契約書の内容は作成者の知識や経験に左右されます。親族への情報共有が不十分な場合も、トラブルにつながりやすくなります。

「死後事務委任契約」のトラブルを防ぐ方法

「死後事務委任契約」のトラブルを未然に防ぐためには、契約時と契約後の両方で、適切な対策を講じることが欠かせません。

「死後事務委任契約」の存在を家族に伝えておく

最も基本的で重要な対策は、契約を結んだことを家族や親族に事前に伝えておくことです。

家族に負担をかけたくないという思いから死後事務を第三者に委任する場合でも、その事実や契約内容はあらかじめ知らせておく必要があります。

できれば、契約を結ぶ前に相談し、理解と同意を得ておくのが理想です。家族に伝える際は、なぜ「死後事務委任契約」を結ぶのか、その理由を丁寧に説明しましょう。

あわせて、契約内容の詳細も共有しておくことが大切です。

契約内容は明確にする

トラブルを防ぐためには、契約内容をできる限り具体的かつ詳細に定めることが重要です。葬儀については、形式、予算の上限、参列者の範囲、宗教や宗派、希望する葬儀社などを明記します。

納骨や埋葬については、納骨先、永代供養の有無、散骨を希望する場合は場所や方法まで具体的に記載します。

遺品整理についても、処分してよい物と残す物のリスト、貴重品の扱い、デジタルデータの処理方法を詳しく定めておくことが大切です。報酬額についても、あらかじめ明確にしておきます。

解約や預託金の扱いを確認しておく

預託金に関するトラブルを防ぐためには、契約締結時に、預託金の管理方法や解約時の扱いを定めておく必要があります。

まずは、預託金をどのように管理するのかを確認しましょう。受任者の個人口座で管理するのか、専用の信託口座を設けるのか、第三者機関が管理するのかなど、管理体制を明確にしておくことが大切です。

また、解約時の返金条件も重要です。契約を途中で解約した場合に、預託金が全額返金されるのか、一部が手数料として差し引かれるのか、差し引かれる場合はいくらなのかを、契約書に明記してもらいましょう。

弁護士に相談しながら契約を進める

「死後事務委任契約」は法律行為であり、専門的な知識が必要です。トラブルを防ぎやすくするためには、弁護士などの専門家に相談しながら契約を進めることが大切です。

専門家に相談すれば、希望する内容を法的に有効な形で契約書に反映しやすくなります。また「死後事務委任契約」で依頼できることと依頼できないことを整理できるため、契約後の認識違いや親族とのトラブルも防ぎやすくなります。

公正証書を作って法的効力を持たせる

「死後事務委任契約書」は、私文書でも法的に有効ですが、公正証書にすることで、より高い証明力と信頼性を持たせることができます。

公正証書とは、公証役場で公証人が作成する公文書です。

公正証書にするメリットは、まず証明力が高いことです。私文書の場合は「そのような契約は知らない」といった争いが生じる可能性がありますが、公正証書であれば、公証人という第三者が契約の存在と内容を証明します。

また、紛失や改ざんのリスクが少ないこともメリットの一つとなります。

遺言書や後見人・身元保証人制度も活用する

終活の備えは、死後の手続きだけで完結するものではありません。「死後事務委任契約」だけでは対応できない事項もあるため「遺言書」や「成年後見制度」「身元保証制度」などを組み合わせて活用することで、幅広い備えができます。

それぞれの制度で対応できる内容は、以下のとおりです。

  • 「遺言書」:財産の分配方法を指定するための書面です。「死後事務委任契約」では財産の処分を原則として扱えないため、財産の承継については「遺言書」で意思を残しておく必要があります。
  • 「成年後見制度」:認知症などで判断能力が低下した場合に備える制度です。財産管理や契約手続きなどを支援してもらえます。
  • 「身元保証制度」:入院や施設入所時に必要となる身元保証人を確保する制度です。身寄りがない方や、家族に頼れない方の備えとして活用できます。

まとめ

「死後事務委任契約」は、身寄りのない方や家族に負担をかけたくない方にとって、有効な終活の手段です。

トラブルを防ぐには、契約内容を具体的に定めることに加え、家族への事前共有、預託金の管理方法の明確化、専門家への相談、公正証書の作成、遺言書などとの併用が重要です。

一般社団法人 終活協議会の「心託(しんたく)サービス」は、47都道府県対応・20年以上の実績を持つ安心のサポート体制が強みです。

「心託(しんたく)サービス」では、専門家ネットワークと連携した確実な事務遂行に加え、月会費や年会費、預託金が不要な料金体系を採用することで金銭トラブルを未然に防いでいます。

窓口は専任コンシェルジュに一本化されており「法人の身元保証サービス」から「死後事務委任契約」まで幅広いサポートが可能です。

まずは詳細な資料で、納得のいく備えを始めてみてください。

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一般社団法人 終活協議会では、終活に関する相談を受け付けております。

お困りの際にはぜひお問い合わせください。

監修

竹内義彦
竹内義彦一般社団法人 終活協議会 理事
1969年生まれ、大阪出身。
2012年にテレビで放送された特集番組を見て、興味本位で終活をスタート。終活に必要な知識やお役立ち情報を終活専門ブログで発信するが、全国から寄せられる相談の対応に個人での限界を感じ、自分以外にも終活の専門家(終活スペシャリスト)を増やすことを決意。現在は、終活ガイドという資格を通じて、終活スペシャリストを育成すると同時に、終活ガイドの皆さんが活動する基盤づくりを全国展開中。著書に「終活スペシャリストになろう」がある。

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