身元保証人は配偶者で大丈夫?高齢夫婦が知るべき条件と「身元保証人」がいない時の対策

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「身元保証人は配偶者でも大丈夫?」と思う方は少なくありません。結論から言えば、支払能力などの一定の条件を満たせば配偶者でも身元保証人になることは可能です。

しかし、高齢夫婦の場合は施設や病院から断られるケースも多く、事前に確認しておくことが重要です。

本記事では、身元保証人としての配偶者の条件・役割・書類の書き方から、身元保証人がいないときの対処法まで詳しく解説します。配偶者が高齢で不安な方は、ぜひ参考にしてください。

1. 高齢者の身元保証人には配偶者がなれる?

まず、配偶者が身元保証人になれる条件と、なれないケースを整理しておきましょう。

1-2. 支払能力があれば配偶者が身元保証人になれる

身元保証人とは、本人に代わって施設費用の支払いや緊急時の対応などを担う人を指します。法律上、身元保証人は配偶者に限らず、条件を満たせば誰でもなることができます。

とくに配偶者が身元保証人になるための主な条件は、以下のとおりです。

  • 十分な支払能力(収入または資産)があること
  • 精神的・身体的に判断能力があること
  • 緊急時に駆けつけられること

老人ホームや介護施設では、入居時に収入証明書などの書類の提出を求め、保証能力があるか審査します。配偶者でも、これらの条件を満たしていれば問題なく身元保証人になれます。

なお「身元保証人」と「身元引受人」は本来は役割が異なりますが、実務上は同一視されているケースが多く、本記事では「身元保証人」に統一しています。

1-2. 配偶者が身元保証人になれないケースは?

一方で、配偶者が老人ホームや介護施設で身元保証人として認められないケースもあります。具体的には、施設ごとに独自の基準を設けているため、以下のような理由で断られることがあります。

  • 配偶者が年金のみの収入で、施設費用を保証できる資産がない
  • 配偶者自身も高齢・病気で、支払能力や判断能力に不安がある
  • 施設が「本人と生計を一(いつ)にしている方は不可」と定めている
  • 高齢により、役割を果たせなくなるリスクがあるとして断られる

とくに高齢夫婦の場合、配偶者も同世代であることが多く、夫婦で同時に介護や入院が必要になるリスクを懸念して、施設が身元保証人として認めないケースがあります。

想いコーポレーショングループと株式会社NEXERが2025年に共同で実施したアンケートでは、終活に対する不安として「何から始めればいいかわからない」と回答した方が23.9%にのぼりました。

身元保証人に関する準備も、後回しにしやすい終活の一つです。配偶者を予定していたのに断られた場合に備え、早めに対策を考えておくことが大切です。

1-3. 法人の身元保証サービスで契約をスムーズに

配偶者が身元保証人になれない場合や、配偶者に負担をかけたくない場合は、法人が提供する「身元保証サービス」の活用がおすすめです。

法人のサービスであれば、個人ではなく組織として保証を担うため、担当者の高齢化や死亡による保証の消滅リスクを避けられます。

また、施設側も「法人が身元を保証している」ことで審査を通しやすくなり、入居手続きをよりスムーズに進められます。

一般社団法人 終活協議会の「心託(しんたく)サービス」は、47都道府県に対応した身元保証サービスです。月額・年会費は無料(初期費用のみ)で、20年以上の実績と終活のプロによる丁寧な体制が特徴です。

2. 身元保証人が必要な主な場面

身元保証人が必要になる場面は、高齢者に限らずさまざまです。どのような場面で求められるのか、代表的な3つのケースを確認しておきましょう。

2-1. 企業への入社時

就職や転職時に、企業から身元保証書の提出を求められることがあります。この場合の身元保証人は、本人が会社に損害を与えた際に一定範囲で賠償責任を負う役割を担います。

企業によっては「本人と別世帯の方」を条件とするため、配偶者がなれないケースもあります。

なお、2020年の民法改正により、身元保証には「極度額(賠償の上限金額)」の明記が義務付けられています。極度額の定めがない身元保証契約は無効となるため、書類を作成する際は必ず確認しましょう。

出典:法務省「2020年4月1日から保証に関する民法のルールが大きく変わります

2-2. 医療・介護施設への入居

高齢者が老人ホームや介護施設、病院に入院・入居する際、身元保証人の提出は、ほぼ必須です。施設の調査によると、約9割の老人ホームが身元保証人を入居条件としています。

この場合の身元保証人は、緊急時の連絡・駆けつけ、費用の連帯保証、退去時の手続きなど多岐にわたる役割を担います。高齢者の身元保証人として最も重要性が高い場面です。

施設によっては、身元保証人を2名以上立てることを求めるところもあります。1名しか確保できない場合や、配偶者1人に頼るのが不安な場合は、あらかじめ施設に相談しておくとよいでしょう。

出典:公益社団法人全国有料老人ホーム協会「平成25年度有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究事業報告書

2-3. 賃貸住宅の契約時

賃貸住宅を借りる際にも、身元保証人(連帯保証人)が必要になることがあります。

高齢になると年金収入だけでは審査が通りにくい場合もあり、配偶者が保証人になる、あるいは家賃保証会社を利用するといった方法で対応するのが一般的です。

なお、国土交通省が推進する「住宅セーフティネット制度」や「高齢者住宅財団による家賃債務保証制度」など、高齢者が住まいを確保しやすくするための公的な仕組みも整備されつつあります。

賃貸住宅への入居を検討する際は、こうした制度の活用も選択肢の一つです。

出典:国土交通省「住宅セーフティネット法等の一部を改正する法律について
出典:一般財団法人 高齢者住宅財団「家賃債務保証

3. 身元保証人が担う3つの役割

身元保証人は、単に「書類に名前を書く人」ではありません。施設や病院から求められる役割は非常に重く、主に以下の3つに分けられます。

引き受ける前に、どのような役割があるかをしっかり確認しておきましょう。

3-1. 緊急時の駆けつけと意思決定

施設入居者の体調が急変したときや、救急搬送が必要になった際には、身元保証人が緊急連絡先となります。夜間・休日を問わず連絡が来ることもあり、迅速に病院に駆けつけることが求められます。

また、認知症などで本人の判断能力が低下した場合には、治療方針や介護方針を決める際の意思決定にも関わります。

ただし、医療行為(手術・投薬など)の同意権は身元保証人には付与されていません。医療・ケアチームと話し合い、本人の推定意思を検討するメンバーとして参加する形になります。

3-2. 生活上のトラブルと身元引受保証

入居者が施設内でほかの利用者や職員とトラブルを起こした場合や、物品を破損した場合には、身元保証人が対応します。

また、入居者が亡くなった際は、遺体・遺品の引き取りや退去手続き、居室の原状復帰なども身元保証人が担います。

「迷惑はかけないから」と依頼したものの、身元保証人が想定以上の対応を求められて困ったという事例も少なくありません。身元保証人を依頼する際は、具体的な役割を事前にしっかり説明することが大切です。

3-3. 入院費や施設費の損害賠償責任

本人が施設の月額費用や入院費を支払えなくなった場合、身元保証人が連帯保証人として代わりに支払う義務を負います。これは身元保証人の中でもとくに重い責任の一つです。

配偶者が身元保証人の場合、本人と同じ財布で生活していることも多く、施設費用の滞納が生じたときに配偶者も支払えないという事態になりかねません。

施設がこのリスクを回避して、高齢の配偶者の身元保証人就任を認めないことが理由の一つでもあります。

4. 身元保証人書類の書き方

身元保証書は、提出先(企業・施設・病院など)によってフォーマットが異なります。

書き方を誤ると書類が無効になることもあるため、共通して注意すべきポイントを押さえておきましょう。

4-1. 日付は作成日か提出日を記入

身元保証書に記載する日付は、書類を作成した日や保証人に署名をもらった日、または本人が記入する日でも問題ありません。

「提出日」または「記載日」を記入することが一般的であり、契約当事者間でとくに指定がない場合は「提出日」が多く使用されます。

署名をもらった日や作成日も考慮されることが多いため、いずれの日付を記載するかは、実際の契約の流れや慣習をもとに判断できます。

重要なのは、記載日や提出日を正確に記入することです。記入漏れや誤記があると、書類の有効性に問題が生じることがあります。

また、施設入居や入院における身元保証には、法律による一律の期間制限はありません。原則として、入居から退去、あるいは入院から退院までの全期間にわたって保証が継続するのが一般的です。

契約書を交わす際は、退去時までの責任範囲について、施設側の規定を改めて確認しておきましょう。

出典:e-GOV法令検索「民法 第465条の6(個人根保証契約の極度額等)

4-2. 本人とは別の印鑑を使用

身元保証書に押す印鑑は、本人の印鑑と同じものを使うことができません。保証人本人が別に用意した印鑑(認印でも可)を使用してください。

施設や企業によっては、実印と印鑑証明書の提出を求めることもあるため、事前に確認しておくと安心です。

4-3. 身元保証人は自署必須

身元保証書は、保証人本人が直接署名する「自署」が原則です。

本人の代わりに家族などが代筆することは認められていません。保証人が遠方に住んでいる場合は、書類を郵送するなどして対応しましょう。

代筆が発覚した場合、書類が無効となるだけでなく、トラブルの原因にもなります。面倒でも保証人に直接記入してもらうことが大切です。

5. 身元保証人がいないときの対処法

少子高齢化や核家族化の進展により、頼める身元保証人がいないという方が増えています。

身元保証人が見つからない場合でも、以下の3つの方法で対処できます。

5-1. 身元保証人が不要の病院・施設を探す

すべての施設・病院が身元保証人を必須としているわけではありません。

公益社団法人全国有料老人ホーム協会の調査によると、約1割の老人ホームでは身元保証人が不要、または代替手段が認められています。

特別養護老人ホーム(特養)などの公的施設では、成年後見人が選任されている場合に身元保証人なしで入居できるケースもあります。

選択肢は限られますが、まずは施設に相談してみることをおすすめします。

5-2. 身元保証人サービスを利用する

身元保証人サービスは、法人(民間企業・NPO法人・一般社団法人など)が身元保証人の役割を代行するサービスです。

現在、国内に400近い団体があるとされ、利用者数も年々増加しています。

費用や提供内容は事業者によってさまざまです。事業者選びでは、実績・対応エリア・財務基盤・料金の透明性などを比較検討することが重要です。

一般社団法人 終活協議会の「心託(しんたく)サービス」では、身元保証に加えて日常生活のサポートや死後事務まで一貫して対応しています。

前述のアンケートでは、終活サービスを「知っている」と答えた方は32.5%にとどまり、まだ広く知られていない現状があります。

また、実際に身元保証サービスを契約・検討している方は6.6%にとどまっており、知ってはいても行動に移せていない方が多いことがわかります。

早めに相談することで、いざというときに慌てずに済みます。

5-3. 成年後見制度を活用する

「成年後見制度」とは、認知症や障害などで判断能力が低下した方の財産管理や契約行為を、後見人が代理して行う制度です。

弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門家が後見人に選ばれるケースもあるため、身寄りのない方でも活用できます。

ただし、後見人は債務の連帯保証を担えないため、施設によっては成年後見人に加えて身元保証人も必要とすることがあります。活用を検討する際は、入居予定の施設に事前に確認しておきましょう。

成年後見制度には、判断能力が低下してから家庭裁判所に申し立てを行う「法定後見」と、判断能力があるうちに自分で後見人を選んでおく「任意後見」の2種類があります。

将来に備えて早めに準備しておきたい方には、任意後見制度の活用がおすすめです。

6. 身元保証人サービスを利用するメリット

身元保証人サービスには、個人に依頼する場合と比べてさまざまなメリットがあります。配偶者や家族への負担が心配な方は、ぜひ検討してみてください。

こちらの記事では、身元保証サービスについて解説しています。費用や注意点も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

6-1. 身元保証人探しの手間と不安を解消

親族や知人に身元保証人を依頼するのは、心理的なハードルが高いものです。法人の身元保証サービスを利用することで、適切な保証人を探す手間や相手への気兼ねなく、必要な保証を確保できます。

また、施設側の入居においても、法人による保証は個人保証より信頼性が高いと評価されやすい傾向があります。

6-2. 配偶者や家族の心身の負担を軽減

高齢の配偶者に身元保証人を頼むことは、相手にとっても大きなプレッシャーになります。緊急時の駆けつけや各種手続き、費用の連帯保証といった重い役割を高齢の配偶者が担い続けることは現実的に困難なケースもあります。

法人の身元保証サービスを活用することで、配偶者や家族の負担を軽減しながら、安心して老後の生活を送れる環境を整えられます。

元気なうちから法人の身元保証サービスを契約しておくことで、配偶者を「支える側」の重圧から解放し、夫婦二人が安心して老後を過ごせる備えになります。

まとめ

今回は、高齢者の身元保証人として配偶者がなれるかどうかについて、条件や役割・書類の書き方・身元保証人がいない場合の対処法をまとめました。

配偶者が身元保証人になれるかどうかは、施設・病院の審査基準次第です。

とくに高齢夫婦の場合は、どちらも倒れてしまうリスクを理由に配偶者が身元保証人として認められないケースもあります。早めに施設に確認し、必要であれば法人の身元保証サービスの活用を検討しましょう。

一般社団法人 終活協議会の「心託(しんたく)サービス」は、20年以上の実績と全国に広がる支部ネットワークにより、みなさまの終活を総合的にサポートしています。

身元保証はもちろん、日常生活の支援から緊急時の対応、死後事務手続きなどご希望や状況に合わせて、さまざまなプランをご提案します。

窓口は一本化しており、月額や年会費は無料です。お悩みのことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

監修

竹内義彦
竹内義彦一般社団法人 終活協議会 理事
1969年生まれ、大阪出身。
2012年にテレビで放送された特集番組を見て、興味本位で終活をスタート。終活に必要な知識やお役立ち情報を終活専門ブログで発信するが、全国から寄せられる相談の対応に個人での限界を感じ、自分以外にも終活の専門家(終活スペシャリスト)を増やすことを決意。現在は、終活ガイドという資格を通じて、終活スペシャリストを育成すると同時に、終活ガイドの皆さんが活動する基盤づくりを全国展開中。著書に「終活スペシャリストになろう」がある。

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