2024年6月19日

葬儀費用の相場は?プランごとの平均費用や安く抑えるコツを紹介

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日本の葬儀費用は世界で一番高いといわれています。なぜこれほど高いのか、その理由には日本ならではの風習が挙げられます。たとえば戒名やお布施、通夜振る舞いなど、独自の文化が葬儀の平均費用を押し上げているのです。

今回は葬儀費用の内訳やプランごとの平均費用などを紹介します。費用と一口にまとめても、その内容は多岐にわたり複雑です。金額が上乗せされるケースや安く抑えるコツなども解説しますので、最後まで読めば葬儀費用に関する基礎知識が身につきます。これから葬儀会社を探す予定があれば参考にしてください。

葬儀費用の平均額は110.7万円

葬儀費用は以下の3つに分けられます。

  • 葬儀自体にかかる費用
  • 参列者の接待費用
  • 返礼品の費用

2020年3月~2022年3月の期間では、上記の合計額の平均は110.7万円で、新型コロナ感染症が流行した影響により過去最少となりました。なお、別途お布施(平均で22.4万円)が上乗せされます。以下、葬儀費用について詳しく解説しましょう。

出典:【第5回お葬式に関する全国調査】(2022年)コロナ禍の葬儀に大きな変化「家族葬」が55.7%で最多

葬儀自体にかかる費用は67.8万円

葬儀とはお通夜から火葬までの一連の儀式を指します。基本的な葬儀プランに含まれる内容を表にまとめました。

葬儀費用の一覧
・斎場、火葬場の利用料金
・祭壇費用
・棺や骨壺の費用
・ご遺体の搬送費用
・ドライアイスの料金

斎場や火葬場の料金は、葬儀社ごとに一律の金額がかかります。それ以外の費用については、プランによって幅があるため差額が生じやすい部分でしょう。

参列者の接待費用は20.1万円

通夜振る舞いや精進落としなど、葬儀での接待にかかる費用の平均額は20.1万円となっています。お酒やソフトドリンク、お寿司・オードブルなどにかかる金額は、参列者の人数に左右されるため想定より上下するかもしれません。

最近は大勢の人が集まるのを避ける目的で会食の席を設けず、代わりにお弁当やグルメギフトなどを参列者に渡してお開きとするケースもあります。

返礼品にかかる費用は22.8万円

返礼品とは香典返しを意味しており、新型コロナ感染症の影響で参列者が減少するのと比例して平均額も下がっているようです。当日に香典返しを渡す際は2,000〜3,000円程度の品物を用意することが多くなっています。ただし、高額の香典をいただいた場合は改めて返礼品を贈るのがマナーです。葬儀が終わってからお返しする場合は、香典の半返しか1/3程度のものを用意します。

葬儀費用はプランによって幅がある

続いては葬儀プランごとの平均費用を紹介します。費用が高い順に並べると以下のとおりです。

  • 一般葬
  • 一日葬
  • 家族葬
  • 直葬

ここではそれぞれのプランの費用について説明します。具体的な費用の相場を知りたい人は参考にしてください。

一般葬の平均費用は100万~200万円

一般葬とは、故人の家族や親族以外の関係者にも参列してもらう形式の葬儀です。会社の関係者や友人・知人なども弔問に訪れるため規模が大きく、必然的に平均費用は高くなります。かつての日本ではポピュラーな葬儀でしたが、最近では少子高齢化にともない大々的な葬儀を執りおこなう家庭は少なくなりました。

相場は100万~200万円と幅があり、参列者の人数次第で増減することもあるでしょう。故人が著名人だったり、生前に多数の人と交流があったりするような場合は一般葬を選ぶケースが多く見受けられます。

一日葬の平均費用は30万~50万円

本来は2日に分けて執りおこなう葬儀を1日に短縮したのが一日葬です。お通夜を省略し、告別式と火葬のみを実施するのが最大の特徴といえます。

メリットとして、通夜振る舞いや香典返しにかかる費用を抑えられる点が挙げられるでしょう。平均で30万~50万円ほどに収まるようです。葬儀プランによっては火葬後に精進落としの場を設けることもあり、その場合は控室で参列者に軽食を提供します。

僧侶に包むお布施や戒名料などは平均費用に含まれていないため、それらを含めると合計で100万円程度になると想定されます。

家族葬の平均費用は99万5,000円

家族葬では故人の近親者のみが参列し、故人と最期のお別れをするのが一般的です。家族以外が参列するケースは珍しくなく、遺族の希望で故人の友人を招くケースもしばしば見受けられます。お通夜から火葬までの流れは一般葬と同様で、参列者は最大で30名ほどです。

従来の葬儀と比べて少人数で済むため、家族葬の平均費用はおよそ100万円と低くなっています。故人とゆかりのある人だけで静かに最期のお別れをしたい人におすすめです。葬儀を簡略化できるメリットがある反面、あとから弔問客が訪れることも多く香典返しの手間がかかるかもしれません。

直葬(火葬式)の平均費用は10万~50万円

直葬ではお通夜と告別式を省き、火葬のみ執りおこないます。プランによっては、斎場や火葬場へご遺体を安置したのち、火葬炉の前で簡単にお別れの儀式をするケースもあるようです。非常に簡素な葬儀のため、平均費用は10万~50万円ほどで収まるケースが多いでしょう。なお、火葬後の会食はないことが大半です。

コロナ禍で直葬の需要は伸びており、『いい葬儀』の調査によると全体の11.4%を占めるという結果が出ています。葬儀に費用をかけたくないと考える人は年々増えており、直葬は時流に合っているといえるでしょう。

出典:【第5回お葬式に関する全国調査】(2022年)コロナ禍の葬儀に大きな変化「家族葬」が55.7%で最多

葬儀費用が上乗せされる3つのケース

「葬儀社の見積もりよりも費用が高くなった」という事例はよくあります。葬儀費用が上乗せされるのは、オプションのサービスを追加したり、棺や骨壺などのランクを上げたりするときです。以下、3つのケースを解説しましょう。

オプションのサービスを追加した場合

なかには葬儀プランに含まれていないオプションを追加したい場合もあるかもしれません。たとえば故人の体を清める湯潅(ゆかん)やメイクアップなど、通常のセットプランにはない有料のサービスをつけると葬儀費用が加算されます。

当初は価格重視で安いプランにしたものの、あとから「これもお願いしたい」という希望が出てくることは十分に考えられます。もしオプションを追加するなら、必要最低限の選択肢に絞るようにしましょう。

棺や骨壺などのランクを変更した場合

棺や骨壺といった葬祭品をアップグレードする場合も、やはり葬儀費用が上乗せされます。よほど葬祭品にこだわりがない限り、もともとのプランに含まれるアイテムを使用するのがよいでしょう。棺や骨壺の違いがわかる人はおそらくそれほど多くないと思われます。

予算の上限が決まっているなら、見積もりの段階で追加費用がいくらか確認しておくと安心です。予算に余裕があれば葬祭品にお金をかけても問題ないでしょう。

飲食費・返礼品・霊柩車の搬送費用などがかかった場合

一般葬では正確な参列者の人数がわからず、香典返しや会食の費用が追加されることもあります。またご遺体を搬送する際の走行距離に応じて搬送料金が高くなったり、ご遺体の安置期間が長引いてドライアイスの料金が加算されたりするかもしれません。

家族葬・直葬では香典返しや会食費用がかさむ可能性は低いとはいえ、それ以外の部分で葬儀費用がかかることも想定されます。想定外の状況が発生することもあるため、これらの追加費用があると知っておきましょう。

葬儀費用を抑える6つのコツ

「できるだけお金をかけずに葬儀を執りおこないたい」という人のために、葬儀費用を抑える6つのコツを紹介します。具体的には葬儀の規模を控えめにする、公的な補助制度を利用するなどの手段があります。

小規模なスタイルの葬儀プランを選ぶ

参列者を限定しない一般葬と比べ、小規模な家族葬や直葬などは葬儀費用が安くなる傾向が見られます。コロナ禍以前は一般葬と家族葬が半々程度の割合でしたが、それ以降は一般葬が約26%に留まっており、従来の流れから変化したことがわかります。

もともと葬儀費用が高いと感じていた人が多く、コロナ禍をきっかけに費用がかからない形式の葬儀プランへ移行した結果といえるでしょう。

出典:【第5回お葬式に関する全国調査】(2022年)コロナ禍の葬儀に大きな変化「家族葬」が55.7%で最多

複数の葬儀社に見積もりを依頼する

身内に不幸があった直後は、死後の手続きに追われて気持ちに余裕がなくなってしまいます。とはいえ焦って葬儀社を決めるのはおすすめしません。病院で亡くなった場合は、葬儀社に遺体の搬送だけを依頼することも可能だからです。

『墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)』には、死後24時間が経過しないと遺体を火葬できないという法律があります。その間に2~3社から相見積もりを取り、予算に合った葬儀社を選ぶようにしましょう。

生前に葬儀プランを決めておく

たとえ健康であっても、親が高齢であれば元気なうちに葬儀プランを決めてもらうのが得策です。自身の終活の一環として葬儀社に生前予約を入れておくのもおすすめです。最近は生前割引のサービスを実施する会社もあり、金銭的な負担を軽減するのに役立つでしょう。

死後の話題は「縁起が悪い」と敬遠されがちですが、身内に不幸があってから動くと手間や労力がかかります。日頃から家族と話し合い、どのような葬儀にしたいかを聞いておきましょう。

公的な補助制度や扶助制度を活用する

葬儀費用を捻出するのが難しい場合、以下の公的補助制度を活用する手段もあります。

【葬儀費用の補助に使える公的な制度】

制度の名称対象者概要
埋葬料・社会保険の加入者・埋葬費用の一部を負担してもらえる
・被保険者が亡くなってから2年以内に申請する
・各健康保険の窓口に必要書類を郵送する
葬祭費・国民健康保険の加入者とその家族
・後期高齢者医療制度の加入者とその家族
・葬儀費用の一部を負担してもらえる
・75歳以上の人が亡くなった場合は「後期高齢者医療葬祭費」と呼ばれる
・葬儀が終わってから2年以内に市区町村の役場へ必要書類を提出する
葬祭扶助・生活保護の受給者など、経済的に困窮している人・金額は自治体によって異なる
・大人で20万6,000円以内、子どもで16万4,800円以内
・最低限の葬儀プラン

自分がどの補助制度を使えるか確認し、申請してください。

故人の預貯金から葬儀費用を支払う

故人の死後、預貯金の口座は一時的に凍結されてお金を引き出せなくなります。もし手元にまとまった金銭がない場合、葬儀費用を支払う方法として故人の預貯金を使いたい人もいるでしょう。

その場合は「預金の仮払い制度」により、故人の口座から費用をまかなうことが可能です。2019年の民法改正により、銀行の窓口で手続きをすれば同一の金融機関につき150万円まで預金を引き出せるようになりました。急な訃報で葬儀代を捻出できない際に有効な手段です。

葬儀保険に加入する

葬儀保険とは、自分の葬式の費用を用意するために加入する保険です。一般的に葬儀費用は高額なため、前もって費用を積み立てたい人におすすめの金融商品といえます。通常の保険よりも保険料が安く、持病があっても加入できます。また保険金の支払いが早いのも特徴で、葬儀費用以外の使途に充てることも可能なため使い勝手はよいでしょう。ただし1年ごとの掛け捨て型であり、基本的に解約時の返戻金がない点に留意してください。

葬儀費用にまつわる3つのトラブル

最後に葬儀費用でよくある3つのトラブルを紹介します。たとえば支払いの負担で揉めたり、想定していた葬儀にならなかったりするケースがあるようです。これから葬儀を執りおこなう予定があれば参考にしてください。

誰が葬儀費用を支払うかで揉める

葬儀費用の支払いに関しては法律で決まっておらず、基本的に喪主が負担するケースが大半です。兄弟姉妹や親族で平等に支払っても問題ありませんが、誰が支払うかで揉めて収拾がつかなくなることもあります。

兄弟姉妹とは疎遠であったり、親族が高齢ですでに亡くなっているなど、さまざまな事情があるかもしれません。そのような場合は、公的補助や預金の仮払い制度などを利用するのも選択肢の1つです。

見積もりの金額より費用が高くなる

安い葬儀プランを選ぶと必要なサービスがついておらず、結局オプションをつけざるを得なくなることもあります。結果として費用が高くなり、予算をオーバーしてしまうかもしれません。

しかし本来は必要ないオプションをつけて費用が膨らんでは本末転倒です。あまりに安い金額を提示された場合、どのようなサービスが入っているか確認すると想定外の出費を防げます。

葬儀プランによっては希望通りの葬儀にならない

葬儀プランを選択する際は、希望する内容と実際の内容を比較して決めないと後悔する可能性があります。特に直葬プランの場合は制約が多く、「こんなはずではなかった」と思うかもしれません。

金額は確かに重要ですが、安かろう悪かろうにならないよう価格以外の部分にも注意を払って葬儀社を決めてください。

まとめ

昨今は葬儀の形式が多様化しており、一般葬・一日葬・家族葬などの選択肢が増えました。葬儀費用は会社ごとにバラつきがあり、一概にいくらとは言い切れないのが難しいところです。そのため「葬儀費用が高い」という印象が定着したのではないでしょうか。

想いコーポレーション株式会社では、終活のサポートをおこなっています。終活の一環として生前に葬儀のプランを考えておけば、家族や親族への負担を減らせるでしょう。この記事を参考に、どのような葬儀がよいか考えてみてください。

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監修

竹内義彦
竹内義彦一般社団法人 終活協議会 理事
1969年生まれ、大阪出身。
2012年にテレビで放送された特集番組を見て、興味本位で終活をスタート。終活に必要な知識やお役立ち情報を終活専門ブログで発信するが、全国から寄せられる相談の対応に個人での限界を感じ、自分以外にも終活の専門家(終活スペシャリスト)を増やすことを決意。現在は、終活ガイドという資格を通じて、終活スペシャリストを育成すると同時に、終活ガイドの皆さんが活動する基盤づくりを全国展開中。著書に「終活スペシャリストになろう」がある。

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