終活とは?何をする?やることリスト9項目を解説の画像

「終活」という言葉自体は広く使われるようになりましたが、具体的に何を目的にしてどのようなことを行うのか理解している人は少ないのではないでしょうか。終活を理解しないで進めてしまうと、途中で挫折してしまうことや、思わぬトラブルに見舞われるケースがあります。
そこで今回は、終活を行なう目的、やるべきこと、始めるタイミングなどを詳しく解説します。

終活の意味と目的

終活とは人生の終盤期について考え、残りの人生をより健やかに過ごすための準備をする活動のことです。高齢者本人が安心した晩年を過ごすための準備はもちろんのこと、遺族の負担を軽減するためにも、人生の最終準備を目的とする終活は非常に大切な活動です。

老後を悔いなく生きる

自分が今置かれている環境を見つめ直すことは、今後どうすれば悔いのない人生を過ごすことができるかを考えるきっかけや判断材料になります。

家族の負担を減らす

本人の死後、残された遺族は悲しみに暮れる間もなく葬儀の手配や死後の手続きに忙殺されます。その後の遺品整理も大変な作業です。葬儀や各種手続きで困らないためにも必要事項を生前のうちに伝えておくことで、家族の負担は軽減されるでしょう。

相続のトラブルを避ける

相続でのトラブルは珍しいことではなく、「争続」や「争族」とも言われます。特に分割が難しい不動産関係や事業資産などは、遺産分割協議が難航しがちです。財産をどのように配分するかをあらかじめ決めておけば、トラブルを回避することができます。

終活を行うメリット

終活は手間や時間のかかる活動ですが、下記のメリットがあります。

1:充実した老後を送ることができる

元気なうちに今までの人生を振り返りながら今後の目標を立てることは、その後の人生を意欲的に過ごすきっかけになります。
例えば学生時代のアルバムを見返しているうちに旧友との再会を計画したり、新婚時の写真を見て、かつて行った旅行先をもう一度訪れたいといった思いが芽生えたりなど、充実した楽しみが増えてくるかもしれません。

2:死に対する不安を軽減できる

誰しも「死」には漠然とした不安を持っています。できれば考えずに避けたい所ですが、いずれは直面する問題です。その中で、延命治療はどうするか、葬儀の形態をどうするかなど、死に関することに向き合うのは大切なことです。冷静な気持ちで自身の死と向き合うことで、自分にふさわしい「人生の幕の下ろし方」が見えてくるかと思います。死への不安を少しでも軽減できることが終活のメリットの1つです。

3:死後について自分の意思を尊重してもらえる

終活を通じて自身が望む最後を事前に設計することで、家族に意志を伝える準備ができます。意志を伝えることにより、遺族間での誤解や不必要な争いを防ぎ、穏やかな気持ちで見送ってもらえます。財産分配や葬儀、お墓の問題はもちろんのこと、自身の死後について気になることが少しでもあれば、生前に希望を伝えておくと安心です。

終活で行う9のこと

終活で行う9のことを具体的に紹介します。

1:老後にやりたいことをリストアップ

まずは、この先自分がどのような人生を送りたいかを明確にすることが重要です。
将来自分がやりたいことをリストアップしましょう。
「リタイアして時間ができれば海外旅行がしたい」「都会暮らしをやめて故郷に戻って自然に囲まれて暮らしたい」「仕事が忙しくなって中断していた趣味をまた始めたい」「ボランティア 活動に取り組みたい」など様々な希望があるかもしれません。
やりたいことを見つけることが生きる意欲にもつながり、それを実現するためにはどのような計画を立てればいいのか考えるきっかけになります。

2:エンディングノートの作成

老後にやりたいことが思いつかない、あるいは終活は何から始めていいのかわからない人には、エンディングノートをつけることをおすすめします。
エンディングノートはキャンパスノートなどを使い自由に作成することができますが、書店や文房具店、ネットなどでエンディングノート専用のノートを1,000前後で購入することもできます。

また、地域によっては無料でエンディングノートを配布している自治体もあるため、お住まいの自治体に問い合わせてみましょう。
さらに、ネット上ではデジタル版のエンディングノートを配布しているサイトもあります。エンディングノートには主に以下の情報を記載します。

  • 自身の個人情報(生年月日、本籍、血液型など)
  • 家族の情報(家族構成、それぞれの家族の生年月日や住所・勤務先など)
  • 交友関係(親戚・友人・知人のリスト、葬儀で参列してほしい人のリストなど)
  • 資産情報(銀行口座、保有不動産、株券、保険など)
  • 葬儀に関する情報・希望(宗旨、菩提寺、葬儀の規模・形態の希望など)
  • 埋葬に関する情報・希望(埋葬方法、先祖代々のお墓の情報など)
  • 医療情報(かかりつけ医、既往歴、延命措置や終末医療に関する希望など)
  • 遺言書に関する情報(遺言書の有無、保管場所、形式内容など)
  • 遺品整理に関する情報(処分方法、価値のあるものなど)
  • 家族に伝えたいこと(感謝の気持ちなど)
  • 老後の計画内容(新たな目標、やりたいことなど)

 エンディングノートには何を書いてもかまいません。ただし、遺言書とは違い法的な効力はないため注意が必要です。

おすすめしたいエンディングノートの書き方を業界関係者が解説

3:金融資産の確認・整理

保有している預貯金、不動産、株式、保険など全ての金融資産をチェックします。チェックが完了したら、暗証番号や取引時に利用するWebサイトのログイン情報、預金通帳や重要書類の保管場所をまとめた金融資産の情報リストを作成します。金融資産に関わるものは紛失や盗難にあった場合、悪用されてしまう可能性があるため、セキュリティの強固な金庫や第三者が見つけることが難しい場所へ保管しておきましょう。エンディングノートに情報リストの保管場所を記載して、エンディングノートと情報リストは分けて保管するのがおすすめです。

4:身の回りの整理

本人が亡くなり、遺族にとって困惑してしまうことが多いのが、遺品整理です。
遺品の中には価値の高いものが含まれている可能性があるため、何も報告がないと遺族が遺品整理時の取捨選択に苦労します。
そのため、本人が動けるうちに不要なものは処分することを進めて、価値のあるものは生前のうちに家族へ伝えておく必要があります。
また、価値が高いものではなくても、生前のうちにはどうしても捨てられない大切なものは、エンディングノートに死後の処分方法を書き残しておきましょう。
身の回りのものを整理することは家族のためだけではなく、自身の人生を振り返るきっかけにも繋がります。

生前整理が大切な理由を業界関係者が紹介。メリット・デメリットや進め方を解説
遺品整理とは?「メリット」「注意点」や「始める時期」「手順」を業界関係者が解説

5:交友関係の整理

今までの交友関係を見直して、特に親しいわけではない人との年賀状のやり取りなどを廃止することを検討しましょう。また、自身の葬儀に誰を招待するのかも重要な問題です。招待する知人のリストを事前に作成しておくことで、訃報を知らせる際に遺族への負担が軽減されます。

6:老後の計画を立てる

終活の最も大きな目的は、残された人生をいかに豊かにするかということです。1でリストアップした「老後にやりたいこと」や年金、財産の詳細を整理することによって今後の計画をより具体化しやすくなります。

7:医療・介護方針を考える

癌などの重篤な病気に罹った時に告知を望むか、終末期に延命治療をしてほしいのかは、とてもナーバスな問題です。実際にそのような事態に直面した時には、冷静な判断ができないかもしれないため、日頃から医療方針を考えて家族へ事前に伝えることが重要です。
また、認知症になって判断力が衰えることも考えられます。介護が必要になった時も「誰に介護してほしいか、どのような介護を希望するのか」を家族へ事前に伝えましょう。

8:葬儀・埋葬方法を考える

葬儀と言えば、親戚縁者や多くの知人を集めた葬儀を行うことが一般的でしたが、最近では家族葬など小規模の葬儀が増えています。自身の葬儀は簡素に済ませたい方が増えているようです。
一方、埋葬方法は遺骨をお墓に収める以外にも、樹木葬や海洋散骨などのお墓を建てない埋葬方法もあり、多様化しています。終活が浸透してきたことや、埋葬方法の多様化から生前時に家族と葬儀や埋葬方法を話し合うケースが増えているようです。生前に葬儀や埋葬方法を伝えておけば事前に準備する余裕ができるため、家族の負担軽減につながります。
また、葬儀や埋葬以外にも、遺影に使ってほしい写真や葬儀で流してほしい音楽などの希望があれば、家族に伝えましょう。

9:遺言書を作成する

自身の死後、遺された財産を「誰にどのように配分をするのか」は、遺言書に記しておく必要があります。不動産や事業資産などの分割しづらい資産がある場合は、残された遺族間でトラブルになる可能性があるため、遺言書の作成が重要になります。
遺言書には自分で作成する「自筆証書遺言」と公証人に依頼する「公正証書遺言」があります。自筆証書遺言の場合は、法的な要件を満たさず無効になるリスクがあるため、できれば専門家に相談して公正証書遺言を作成することをおすすめします。

意外と知られていない遺言書の「知っておきたい事」「注意点」について業界関係者が紹介

終活を始めるのにおすすめしたいタイミング

終活はいつから始めなければならないという決まりはありませんが、できるだけ早く始めた方が良いでしょう。特に老後にやりたいことを実現するためには早くから計画を立てて、資金面でも余裕を持った準備をすることが大切です。
また、不幸は突然襲ってくる可能性があります。予期せぬことから重い病気にかかってしまうことや、不慮の事故で亡くなることも、万が一ですが考えられます。
そのため、残された遺族のためにも日頃から終活を通じて自身の死後に関わる準備をしておきましょう。
しかし、終活は早く始めた方がいいのは分かっていても、始めるきっかけがつかめないという方もいます。そこで、終活を始めるタイミングがつかめなかった方は、下記のような人生の節目に沿って終活を始めてみることをおすすめします。

1:定年退職で余裕ができた時

一般的には定年退職で時間的余裕のできる60代から終活を始める方が多いようです。60代であれば、まだまだ気力や体力が充実しているため、挫折することなく最後まで終活に取り組むことができます。

2:親族や友人が亡くなった時

親族や友人が亡くなった時に、自身の人生を深く考える方は多くいると思います。何年も会っていない親戚や友人の訃報を聞いた時に、普段よりも死との距離を近く感じ、自身の死に対する考えと漠然ながらも向き合うことになります。
その中でも特に配偶者を亡くした時は、人生の大きな転機です。その後の生活も大きく変化することが予想され、自身の死と深く向き合うきっかけにもなります。一人暮らしを続けるのが不安であれば、離れて暮らす家族との同居や、高齢者施設への入居を検討していく中で、終活を始めることが必要になります。

3:家庭環境に変化があった時

子供が進学、就職や結婚といった際に家から出ていくタイミングは部屋が空くため、身辺整理など身の回りの整理を始めるのにおすすめです。
また、孫の誕生などの家族構成に変化があった時は、財産の分配を見直すきっかけになるため、終活をはじめるきっかけの一つになります。

4:自身の健康に不安を覚えるようになった時

大きな手術をしなければならないような場合には、もしもの時のことを考える必要があります。健康なうちから終活に取り組む方がいいのは言うまでもありませんが、大きな病気を経験することによって、残りの人生をどのように生きていくのかリアルに考えるようになります。その中で、終活を始める必要性が見えてくるかと思います。

終活を行う際の注意点を紹介

終活を行なう際には、下記のような点に注意する必要があります。

1:自分のペースで進める

終活はやるべきことがたくさんあります。最初は張り切って始めても、膨大な作業で挫折しないように気をつけなければなりません。特に断捨離には体力や判断力が要求されます。少しずつ計画的に進めることが大切です。

2:状況に応じて方針を見直す

入念な計画を立てても自身の状況や外部環境の変化によっては、計画通りの実行が難しくなる可能性があります。その場合は当初立てた計画内容に固執することなく、柔軟に見直しましょう。
例えば、配偶者が亡くなり一人になっても今住んでいる家に住み続ける予定であったものの、心変わりし一人で暮らすことに不安を覚えてしまった場合、計画を変更して高齢者施設への入居や離れて暮らす家族との同居を検討しなければなりません。
この様に、終活の中で実際に経験してみたことに違和感があれば、計画を変更することは正しい判断です。

3:デジタルデータの整理

最近は、パソコンやスマートフォン、タブレット端末に残されたデジタルデータをどうするかも終活の大きなテーマです。「デジタル終活」という言葉も生まれています。デジタルデータは実際に残されている遺品とは異なり、目に見えないものもあるため、注意が必要です。サブスクリプションサービスを利用していると、死後も口座からずっと引き落とされてしまいます。解約しようとしてもパスワードがわからずにトラブルに発展する恐れがあるため、使用しているサービスのアカウントやパスワード情報を共有できる状態にしておきましょう。

ジタルデータをトラブルなく引き継ぐ。デジタル終活の進め方と注意点を業界関係者が解説

4:家族と相談・情報共有する

終活の目的の一つは「家族のため」です。死後の整理や手続きに対して遺族を困らせないことや、相続で揉めないようにするためにも高齢者本人が元気なうちから準備しなければなりません。
また、終活は高齢者本人の意思を主張するだけではなく、家族の意思に寄り添うことも重要です。
例えば、葬儀の形式や埋葬方法については自分の思いだけでなく、家族の意見にも耳を傾けましょう。高齢者本人は質素に家族葬で済ませたいと思っていても、子供は立派な葬儀をあげたいと考えているかもしれません。
この様に、意見が違った際にはお互いの意思を尊重しながら、最善の答えを出しましょう。また、エンディングノートや資産の管理情報については、いざという時に保存場所が分かるように家族との情報共有が必要です。実際に死後数カ月経ってからエンディングノートが発見されるようなケースもあります。

5:専門家の助けを借りる

終活の中でも財産の相続をどうするかは、特に専門的な法律的知識が要求されます。そのため、弁護士などの専門家に相談するのが無難です。
また、いざという時に頼れる人がいない高齢のおひとりさまの場合、認知症になって判断力が衰えた時に備えて成年後見制度の利用を検討しましょう。
また、死後の手続きをスムーズに行うためには死後事務委任契約が必要です。
成年後見制度や死後事務委任契約も、専門的な知識や多くの手続きが要求されます。
終活は専門家が対応しないと解決するのが困難な問題も多数でてくるため、自分で全てやろうとせず、対応出来ないことは専門家に助けてもらうことをおすすめします。

成年後見制度とは?メリットや手続き方法を業界関係者が分かりやすく解説
死後事務委任契約とは?ご逝去の手続きで
「親族に迷惑をかけたくない方・おひとりさまの方」でも安心

お客様からの満足度が高い終活サービスを提供

終活は自身の老後についてはもちろん、家族のためにも重要な活動です。しかし、やるべきことが多く、途中で挫折するケースもよくあるため、あせることなく、自分のペースでコツコツと進めましょう。
また、介護や医療、遺言書に関しては専門的な知識が必要です。トラブルを防ぐためにも、分からないことや不安があれば専門家に相談しましょう。
一般社団法人 終活協議会は、終活サービスを始めて約20年、20,000人以上のお客様の終活をサポートした実績があり、多くのお客様からご好評の声をいただいております。
全国13カ所の拠点でサービスを展開し、各地に終活サービスにたずさわる専門家とのネットワークを構築しています。弁護士、司法書士、行政書士、税理士、社会保険労務士、不動産鑑定士など、1,400名を 超える専門家が登録しているため、お住まいの地域でニーズに合わせた専門家を紹介することが可能です。
追加費用やオプション費用は一切無く、「入会金と基本料金のみ」で、お客様一人ひとりに合わせた最適なプランを提供することが可能です。
専門スタッフが終活に関する不安や悩みにお答えするフリーダイヤルも設置しています。
しつこく契約を迫るようなことは一切いたしませんので、気軽にお電話ください。
365日(受付時間10:00~17:00) 対応しております。
また、全国各地で無料の説明会も開催しているため、下記ページからご予約ください。
24時間365日受け付けております。

終活無料説明会申込ページ
最後に、会社やサービスについて資料請求をご希望の方は、下記のページより資料をご請求ください。24時間365日受け付けております。

心託サービス資料請求ページ

監修

菊田あや子
菊田あや子終活協議会理事
下関市出身、日本大学芸術学部放送学科卒業。
在学中にラジオでプロデビューしワイドショーリポーターで全国を飛び回る。90年代のグルメブーム以降、「日本一食べている女性リポーター」となりグルメ・温泉・旅番組で、持ち前の明るいキャラクターで活躍。
近年は「食育」「介護」等の内容で全国に講演活動中。
2020年最愛の母を94歳で看取り、一般社団法人終活協議会と出会い理事に就任。
還暦のおひとり様であり終活の必要性を広く発信中。

この記事をシェアする