2023年9月11日

家族が亡くなった後の手続き一覧や対応すべき内容を業界関係者が解説

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大切な家族が亡くなり、辛く悲しい別れが訪れる中で、遺族として「やらなければいけないこと」がたくさんあります。期限が定められているものもあり、それを過ぎると罰則規定が設けられている場合もあります。そこで今回は、家族が亡くなった時に遺族が行う手続きについて、下記の4点を解説します。

1:家族が亡くなったらすぐに対応すべきこと
2:葬儀後に必要な手続き
3:遺産相続・税に関する手続き
4:家族が亡くなった後の民間サービスに関する手続き

この記事を読むことで、万が一のときでも滞りなく手続きが終えられるよう参考にしていただければと思います。

目次

家族が亡くなったらすぐに対応すべきこと

まずはじめに、家族が亡くなったらすぐに対応しなければならない手続きの内容を紹介します。

死亡診断書の受け取り

主治医に死亡診断書の発行を依頼します。死亡診断書は以降の各種手続きで必要となるため、原本は紛失や汚損などが無いように注意したうえで、コピーを複数枚取っておきましょう。

事故死や突然死の場合

死因が事故死や突然死、自死、犯罪の被害による死亡の場合には警察へ連絡します。その後、警察によって検死が行われ、警察医が死亡診断書を発行します。

死亡届の提出

死亡診断書と一体になっている死亡届に必要事項を記入して役所に届け出ます。提出窓口は次のいずれかの市区町村役場です。

●故人が死亡した地
●故人の本籍地
●届出人の所在地(住所地)

死亡届は死亡の事実を知った日から(その日を含めて)7日以内に届け出なければいけません。また、このタイミングで次に説明する「火葬に関する書類」も合わせて提出すると良いでしょう。

火葬許可証の受け取り

役所に死亡届と火葬許可申請書を提出して受理されると、引き換えに火葬許可証が交付されます。故人を火葬する際に必要となる書類のため、失くさないようにしましょう。

葬儀社への連絡や手続き

葬儀を執り行う業者へ連絡して、葬儀に向けた手続きを行います。あらかじめ葬儀社を決めておくとスムーズですが、決めていない場合は病院から紹介された複数の葬儀社から選んで、連絡すると良いでしょう。なお、先に説明した死亡届や火葬許可申請書の提出については、葬儀社が代行してくれる場合があります。必要に応じて相談してみましょう。

訃報の連絡

故人と縁の深かった友人・知人に対して訃報の連絡を行います。伝える方法としては電話が最も早く伝えることができ、確実です。まずは亡くなったことを伝え、葬儀の日時・場所は決まり次第改めて連絡する旨を伝えると良いでしょう。それ以外の方には、訃報と葬儀の連絡を同時に行いましょう。

告別式の準備

火葬許可証を葬儀社へ提出し、葬儀を行う準備を進めます。葬儀とは一般的には「通夜、葬儀式、告別式、火葬」までの一連の行いを指します。初七日は、本来は故人が亡くなってから7日目に行う法要ですが、最近では、葬儀と一緒の日に済ませるケースもあります。

葬儀後に必要な手続きと期間

葬儀や告別式が終われば一段落となりますが、あまりのんびりしている余裕はありません。なぜならば、次に紹介する各種社会保険、住民票に関する手続きは、定められた期限内に対応しなければならないためです。項目ごとに整理して説明します。

公的年金に関する手続き

故人が公的年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金など)を受給していた場合は、日本年金機構へ連絡したうえで「受給権者死亡届(報告書)」を提出し、支給停止の手続きを取ります。具体的には次の通りです。

手続きする窓口

最寄りの年金事務所または年金相談センター

必要な書類

●受給権者死亡届(報告書)
●故人の年金証書
●死亡の事実を証明する書類(戸籍抄本または住民票の除票など)

手続きの期限

●国民年金(基礎年金):死亡後14日以内
●厚生年金:死亡後10日以内

遺族年金の請求

故人に配偶者がいて、一定の条件に当てはまる場合には遺族年金を受け取ることができます。この場合、同じく年金事務所で遺族年金の申請が必要です。申請しなければ遺族年金は支給されないため、該当する方は忘れずに申請しましょう。
また、年金を受給中の方が死亡した場合、その方に支給すべき年金でまだ支給されていないものについては、一定範囲の遺族に『未支給年金』として支給されます。対象となる遺族の範囲や請求方法など詳しくは、年金事務所で確認するようにしましょう。
なお、日本年金機構に故人のマイナンバー(個人番号)を登録している場合は原則として、「年金受給権者死亡届(報告書)」を省略できます。登録の有無を確認できない場合は、日本年金機構へ問い合わせてみましょう。

介護保険に関する手続き

故人が65歳以上だった場合、役所の窓口において介護保険の資格喪失手続きが必要です。具体的には次の通りです。

手続きする窓口

●故人の住民票がある市区町村役場

必要な書類

●介護保険資格喪失届出
●故人の介護保険被保険者証(役所へ返却する)

手続きの期限

●死亡後14日以内

その他

故人が40歳以上65歳未満で要介護認定を受けていない場合は、介護保険資格喪失届出は不要です。
市町村によっては資格喪失届出を提出しなくとも、先に述べた死亡届を提出するだけで手続きを省略できる場合があります。その場になって混乱しないように、事前に市町村の担当窓口に確認しておくと良いでしょう。

雇用保険受給資格者証の返還

故人が雇用保険における失業等給付(基本手当)を受給していた場合、雇用保険受給資格者証を返還しなければなりません。

手続きする窓口

故人が利用していた公共職業安定所(ハローワーク)

必要な書類

●雇用保険受給資格者証
●死亡の事実を証明する書類(戸籍抄本または住民票の除票など)

手続きの期限

死亡後1ヶ月以内

その他

故人が基本手当を受給している間に亡くなった場合、生計を同じくしていた遺族は、死亡の日の前日までの基本手当の支給(未支給失業等給付)を受けることができます。詳しくはハローワークに問い合わせてみましょう。

公的医療保険に関する手続き

故人が何らかの公的医療保険(健康保険、国民健康保険、後期高齢者医療など)に加入していたら、まずは資格喪失の届け出を行います。そのうえで葬儀を執り行った喪主に対し、葬祭費または埋葬料が支給されます。

提出窓口

故人が加入していた公的医療保険の保険者(全国健康保険協会、健康保険組合、市町村国民健康保険、都道府県後期高齢者医療広域連合など)

必要な書類

種類期限提出書類
資格喪失届14日以内資格喪失届
被保険者証
死亡の記載がある戸籍など埋葬費の申請
資格喪失届2年以内葬祭費請求書(加入する公的医療保険によって書式・名称が異なる)
故人の利用していた公的医療保険の被保険者証
死亡診断書
会葬礼状または葬儀などの領収証(喪主のフルネーム記載が必要)
喪主の認印
振込先金融機関の通帳または口座番号の分かるもの
※申請者と故人の関係によって提出書類が異なる。

その他

故人が加入していた公的医療保険の種類によって、必要な書類が異なります。詳しくはそれぞれの保険者に問い合わせて下さい。

住民票の世帯主変更届

故人が世帯主だった世帯で、同居する家族が新たな世帯主になる場合には、市区町村役場で住民票の世帯主変更届を提出します。

手続きする窓口

市区町村役場

必要な書類

世帯主変更届

手続きの期限

死亡後14日以内

遺産相続・税に関する手続き

故人が財産を持っていた場合、遺産をどのように分けるのか、相続税に関してどのような対応が必要かという遺産相続についての手続きが必要となります。これらの手続きが終了しなければ、税の未申告や、遺産相続上のトラブルに繋がる恐れがあります。家族内で円滑に進めていくためにも遺産相続についての手続きは、関係者の了解を得ながら確実に進めて行くことが重要です。

所得税の準確定申告と納税

故人の生前の所得税について、故人に代わって相続人が確定申告を行います。これを準確定申告といいます。

手続きする窓口

故人の住所地を管轄する税務署

必要な書類

●確定申告書
●故人の源泉徴収票
●故人の控除証明書
●所得税および復興特別所得税の確定申告書付表
●故人の医療費の領収書
●委任状など

手続きの期限

相続が発生してから4ヶ月以内

遺産相続の流れ

遺産相続では、一般的に次のステップを踏みます。
※本トピックでは故人=被相続人と記します。

ステップ1:遺言書の有無の確認

被相続人が遺言書を残しているか確認します。遺言書を残している場合は、有効か無効であるかを確認するため確認手続きを行います。

ステップ2:相続人の調査・確認

相続する人の数を調査して確定させます。法定相続人が全員揃わない中で協議しても、その遺産分割協議は無効となるため注意が必要です。

ステップ3:相続財産の調査

被相続人の財産を確定させます。相続財産とは一般的に次のような資産を指します。

●不動産:土地・建物など
●動産:貴金属など
●金銭債権:預貯金・生命保険料積立金
●有価証券:株式・投資信託

相続財産には借金や住宅ローンなど、マイナスの財産も含まれるため注意しましょう。
また、故人名義の銀行口座は、相続手続きが終わるまで凍結されます。相続人としてどのように相続するのかが確定し、該当口座の凍結解除の手続きを行うまでは、原則として預金を引き出すことはできないため、注意が必要です。

ステップ4:遺産分割協議

法定相続人と相続財産が確定したら、相続人全員で「どの財産」を「誰」が「どのように相続するか」を協議します。遺産分割は相続人全員の合意が無ければ成立しないため、分割の内容に反対する相続人が一人でもいたり、分割協議に協力しない相続人がいたりすれば、協議はまとまりません。そのため、弁護士などの法律の専門家に協議を依頼することも一つの方法です。

ステップ5:相続税の申告と納税

相続する遺産の総額が、相続税の基礎控除を超える場合には、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告と納税を行います。基礎控除の計算式は次の通りです。

基礎控除額 = 3,000万円+(法定相続人の数×600万円)

手続きする窓口は、故人の住所地を管轄する税務署で、必要な書類は次の通りです。

●被相続人の戸籍謄本と改製原戸籍
●被相続人の住民票の除票、または戸籍の附票
●相続人全員の戸籍謄本
●相続人全員の住民票
●相続人全員の印鑑登録証明書 など

ステップ6:遺産分割協議書の作成協議

遺産分割に関して相続人が全員で話し合った内容を、遺産分割協議書にまとめます。

ステップ7:相続した不動産の登記手続き

相続された不動産について、所有権移転の登記を行います。これまで相続登記には期限が設けられていませんでしたが、2024年4月以降は義務化されるため、相続から3年以内に相続登記しないと、10万円以下の過料が科せられる恐れがあります。申請先は不動産の管轄の法務局で、必要書類は次のようなものがあります。

●被相続人の除籍謄本
●被相続人の住民票除票
●相続人の住民票
●相続人の戸籍謄本
●遺産分割協議書または遺言書 など

ステップ8:預貯金、株式、自動車の名義変更・処分

被相続人が所有していた預貯金、株式の名義変更を行うため、銀行や証券会社などの金融機関に連絡して必要な手続きを済ませます。また、自動車がある場合は、最寄りの陸運局で名義変更、または処分を行います。
手続きに必要な書類は次の通りです(各金融機関などによって詳細は異なる。)

種類
(手続き場所)
必要書類
銀行口座の名義変更
(各銀行の窓口)
●名義変更の申込書
●被相続人の戸籍謄本、預貯金通帳、銀行印、キャッシュカード
●相続人全員の住民票、印鑑証明書
●遺産分割協議書または遺言書 など
株式の名義変更
(証券会社の窓口)
●名義変更の申込書
●戸籍謄本または法定相続情報一覧図
●相続人の戸籍謄本、印鑑証明書
●証券会社への届出印
●相続人の証券口座が分かる資料
●遺産分割協議書または遺言書 など
自動車の名義変更
(陸運局)
●申請書
●手数料納付書
●自動車検査証(車検証)
●遺産分割協議書または遺言書
●戸籍謄本または法定相続情報一覧図
●相続人の印鑑登録証明書
●自動車税申告書
●車庫証明書(車の駐車・保管場所に変更が出る場合)など

家族が亡くなった後の民間サービスに関する手続き

役所での手続き以外にも、民間事業者の手続きが必要です。下記の通り説明します。

クレジットカードの利用停止

故人がクレジットカードを契約していた場合、速やかに利用停止の手続きを取る必要があります。クレジットカードの大半は、カードの裏面に問い合わせ先の電話番号が記載されているため、電話して事情を伝えれば、利用停止することができます。

運転免許証の返納

故人の運転免許証については、家族が返納する義務はありません。ただし、運転免許証の有効期限が満了していない場合には、運転免許証更新連絡書などの通知が来てしまいます。通知を停止するには、最寄りの警察署または運転免許更新センターなどに問い合わせ、必要書類を提出しましょう。

パスポートの失効手続き

故人がパスポートを持っていた場合、最寄りのパスポートセンターで失効手続きを行いましょう。失効には、故人のパスポート、故人の除籍謄本、死亡診断書のコピーなどが必要です。

生命保険金の受け取り

故人が生命保険に加入していた場合、指定された受取人は保険金を受け取ることができます。保険金の受取期限は3年ですが、忘れないうちに早めに請求するようにしましょう。

電気、水道、ガスなどの公共サービスの名義変更・停止

故人名義で電気、水道、ガスなどの公共サービスを契約していた場合は、名義変更または停止の手続きを行いましょう。それぞれ契約している電力・水道・ガス会社に連絡すれば、手続き方法や提出する書類について教えてくれます。

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今回は、家族が亡くなった後に遺族がしなければならない手続きを解説しました。この記事で紹介した手続きの多くは、期限が設けられているものが大半であり、一つずつ確実に行うことが大切です。遺産相続、税に関する手続きについては、遺族だけで対応するのが難しいものもあります。この場合、税理士や弁護士などに対応を依頼するのも一つの方法です。
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監修

落合康人
落合康人所属:東京司法書士会 一般社団法人 終活協議会理事 
1997年 東洋大学法学部卒業
大学在学中から司法書士試験の勉強をしつつ、1999年株式会社サイゼリヤに入社
7年間勤務した後、再度司法書士を目指すため2006年退社
2007年 司法書士試験合格
2008年 司法書士登録
試験合格後は、都内の司法書士事務所や法律事務所にて勤務
2021年 「落合司法書士事務所」開設
2021年 一般社団法人終活協議会理事就任

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