2025年10月21日

子なし夫婦の老後リスクとは?必要な備えを徹底解説

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「子なし夫婦の老後」と聞くと、多くの方がまず「お金」の心配を思い浮かべるかもしれません。しかし、長年連れ添ったパートナーと二人で歩んできた方々にとって、それ以外にも不安なことがたくさんあるのではないのでしょうか?。

「もし、どちらかが先にいなくなったら…?」

その時、残された自分は一人でどう生きていけばいいのか。お金では解決できない、心の繋がりや日々の支えに関する不安こそ、より深く、切実な課題です。そうした金銭的な準備はもちろんのこと、心の平穏を保つための準備にも焦点を当てていきます。

60代から顕在化する「配偶者亡き後」のリアルな心配事

60代を迎えると、周囲の友人や知人から配偶者との別れを経験したという話を聞く機会も増えてきます。
それは、決して他人事ではありません。「夫(妻)が入院したら、身元保証人は誰がなる?」「自分が認知症になったら、財産の管理は?」「一人になったら、話し相手もいなくなり、社会から孤立してしまうのではないか」。
こうした心配事は、日々の生活の中でふとした瞬間に心をよぎり、重くのしかかります。頼れる子供がいないからこそ、これらの現実的な問題に正面から向き合う必要があるのです。

子なし夫婦(ディンクス)の老後資金計画

老後の安心を語る上で、やはり経済的な基盤は避けて通れません。しかし、やみくもに不安になる必要はありません。まずは「いくら必要なのか」を正しく理解することから始めましょう。具体的な数字が見えれば、今から何をすべきかが明確になります。

老後資金はいくら必要?総務省データから見る「2,000万円」の根拠

「老後2,000万円問題」という言葉を耳にしたことがある方は多いでしょう。
これは決して大げさな数字ではありません。
総務省の家計調査によると、高齢単身無職世帯の1ヶ月の支出は約15〜16万円です。一方、年金の受給額だけでは毎月数万円の赤字が出るケースが多く、この不足分を貯蓄で補う必要があります。仮に毎月2万円の赤字が30年続くと仮定すると、それだけで720万円が必要です。
また、子どもがいないご夫婦の場合は、介護を専門サービスに頼る可能性が高く、夫婦二人分の介護費用として約1,000万円、葬儀費用として約200万円を見込んでおくと、合計で約2,000万円という数字が見えてきます。これはあくまで一つの目安ですが、計画を立てる上での重要な指標となります。

夫婦どちらかが倒れたら?
「もしも」に備える介護と身元保証の準備

「まだ元気だから大丈夫」と思っていても、病気や介護は突然訪れます。特に子供がいないご夫婦にとっては、「いざという時に誰に頼れるのか」という問題は、とても現実的で避けられません。

夫婦のどちらかが倒れた場合、もう一方がすべてを抱え込むことになれば、心身への負担は大きく、無理を重ねれば共倒れにつながるおそれもあります。そうなる前に、外部のサービスや支援をどう使うかを知り、早めに備えておくことが大切です。

入院や入所で必要な身元保証とは?

病院に入院するときや介護施設へ入るとき、ほとんどの施設で「身元保証人」や「連帯保証人」を求められます。これがいないと、入院を受けてもらえなかったり、入所の手続きが進まず困ってしまうことがあります。

しかし、子どもがいないご夫婦の場合、頼れる身元保証人が見つからないことも少なくありません。そんなときに心強いのが「身元保証サービス」です。緊急時の連絡先になってくれるだけでなく、入院・入所の手続きや費用に関する保証まで、必要な場面で幅広く支えてくれます。

もしもの時に慌てないためにも、どんなサービスがあり、何が任せられるのかを早めに調べ、比較しておくことが大切です。

関連記事:入院・手術に必要な保証人がいない場合の対処法を専門家解説

終活協議会の『心託』というサービスでは入居・入所の際の「身元保証」のサービスも受け付けています。

元気なうちに決めておく「任意後見制度」の活用

認知症などで判断能力が低下してしまった場合に備えるのが「任意後見制度」です。これは、自分が元気なうちに、認知症などで判断能力が低下してしまった場合の自分の財産管理や身上監護(介護サービスの契約など)を任せる人(任意後見人)を、決めておく制度です。
任意後見人は、配偶者や信頼できる親族のほか、弁護士や司法書士などの専門家にも依頼できます。この制度を活用すれば、万が一判断能力が衰えても、自分の希望に沿った形で財産や生活を守ってもらうことができます。「まだ早い」と思わず、夫婦そろって元気なうちに検討しておくべき大切な備えです。

関連記事:任意後見制度について|内容と手続きの流れや費用・法定後見制度との違い

遺された想いを繋ぐために
〜子供がいない夫婦の相続と遺言の重要性〜

「夫婦二人だけだから、相続なんて関係ない」そう思っていませんか?
実は、子どもがいない夫婦にこそ、相続対策は絶対に必要です。なぜなら、法律上の相続のルールは、多くの方がイメージしているものとは異なる場合があるからです。何の準備もしていないと、遺された配偶者が思わぬ苦労をしたり、疎遠だった親族との間でトラブルが発生したりする可能性があります。
大切なパートナーに自分の財産を確実に遺し、感謝の気持ちを伝えるためにも、正しい知識を身につけ、元気なうちに行動を起こしましょう。

要注意!子供がいない夫婦の相続人は配偶者だけではない

最も注意すべき点は、子供がいない夫婦の場合、夫が亡くなった際の相続人が「妻だけ」とは限らない、という事実です。民法では、亡くなった方の親(または祖父母)がご健在であれば、その親も相続人となります。もし親がすでに亡くなっている場合は、亡くなった方の兄弟姉妹(またはその子供である甥・姪)が相続人になります。
つまり、遺言書がなければ、遺された配偶者は、義理の親や兄弟姉妹と遺産分割の話し合いをしなければならず、財産をすべて相続できない可能性があるのです。

「公正証書遺言」で希望を確実に実現する方法

「全財産を愛する妻(夫)に遺したい」。その想いを確実に実現する最も有効な手段が「遺言書」の作成です。特に、公証役場で作成する「公正証書遺言」は、法律の専門家である公証人が関与するため、形式の不備で無効になる心配がほとんどなく、最も信頼性が高い方法と言えます。
作成には費用と手間がかかりますが、遺された配偶者の精神的な負担や将来のトラブルを考えれば、その価値は計り知れません。夫婦それぞれが、お互いのために遺言書を作成しておくことが、最高の思いやりとなるでしょう。

関連記事:無効にしないための遺言書の書き方|意外と知らない5つの注意点とよくある質問を解説

死後の手続きを託す「死後事務委任契約」という選択肢

一人遺された後、もし自分が亡くなったら、葬儀や納骨、役所への届け出、公共料金の解約、遺品整理などは誰が行ってくれるのでしょうか。こうした死後に必要となる様々な事務手続きを、生前のうちに第三者に依頼しておく契約が「死後事務委任契約」です。
依頼する相手は、信頼できる友人や知人のほか、司法書士や行政書士などの専門家も可能です。この契約を結んでおくことで、残される人に迷惑をかけることなく、安心して最期を迎えるための準備を整えることができます。

関連記事:死後事務委任契約とは?司法書士が解説、亡くなった後の手続きは誰かに任せられます

孤独を防ぎ、生きがいを見つける方法

これまでご紹介してきたお金や法律の準備は、安心して暮らすための「土台」のようなものです。しかし、豊かな人生には、気持ちの安らぎや毎日の楽しみも欠かせません。特に、長年連れ添ったパートナーを亡くした後の孤独感は、子どもがいないご夫婦にとって大きな不安のひとつです。

とはいえ、準備次第でその不安を和らげることはできます。大切なのは、夫婦二人だけの世界に閉じこもらず、地域や友人、趣味などを通じて社会とのつながりを持つこと。そして、万が一の時に頼れる場所やサービスをあらかじめ知っておくことです。

趣味・地域コミュニティ・ボランティア活動

元気なうちから、夫婦共通の趣味だけでなく、それぞれが一人でも楽しめる趣味や活動の場を持っておくことが大切です。地域のサークル活動やカルチャーセンター、ボランティア活動などに参加してみましょう。共通の関心事を持つ仲間との交流は、生活に彩りを与え、配偶者以外にも気兼ねなく話せる友人を作るきっかけになります。

配偶者を亡くした後の心のケアと相談窓口

大切なパートナーを失った悲しみは、計り知れません。その深い喪失感を一人で抱え込む必要はありません。日本には、グリーフケア(悲嘆回復支援)を行うNPO法人や自助グループが数多く存在します。
また、お住まいの自治体の「地域包括支援センター」でも、高齢者の生活に関する様々な相談に乗ってくれます。こうした相談窓口の存在を知っておくだけでも、心の保険になります。

エンディングノートで伝える感謝と、残される人への配慮

エンディングノートは、事務的な情報を書き残すだけのツールではありません。残されるパートナーへの感謝の言葉や、共に過ごした日々の思い出、そして「一人になっても自分らしく生きてほしい」という願いを綴る、最後の手紙にもなります。
自分の想いを文字にすることで、自分自身の人生を振り返るきっかけにもなるでしょう。お互いのノートを時々見せ合いながら、これからの生き方について語り合う。そんな時間も、夫婦の絆をより一層深めてくれるはずです。

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終のすまいをどう選ぶ?子供がいない夫婦の老後の住まい

年を重ねると、今住んでいる家が今の生活に合わなくなることがあります。たとえば、車の運転が難しくなったり、階段の上り下りが大変になったりする場合です。だからこそ、元気なうちに夫婦で「終の住まい」について話し合っておくことが大切です。

今の家に住み続けるのか、それとも交通や生活に便利な場所へ引っ越すのか。どちらの選択にもメリットとデメリットがあります。自分たちの価値観や健康状態、そして資金計画を考えながら、無理なく安心して暮らせる住まいを見つけましょう。

選択肢メリットデメリット
持ち家・住み慣れた環境で暮らせる安心感
・住宅ローンの完済後は住居費が抑えられる
・建物の老朽化に伴う修繕費が必要
・バリアフリー化のリフォーム費用がかかる場合がある
・立地によっては将来的に不便になる可能性
賃貸住宅・ライフステージに合わせて住み替えが可能
・設備の修繕や固定資産税の負担がない
・家賃を生涯払い続ける必要がある
・高齢になると入居審査が厳しくなる場合がある
シニア向け住宅・バリアフリー設計で安全性が高い
・安否確認や生活相談サービスが受けられる
・同世代の入居者と交流しやすい
・一般的な賃貸より費用が割高になる傾向
・サービス内容によって月額費用が大きく変動する

二人でも一人でも、自分らしい老後を迎えるために

子どもがいないご夫婦の老後の備えは、ただのリスク管理ではありません。これまで二人で築いてきた生活を、最後まで自分らしく、安心して過ごせるように準備することです。お金や介護、相続などの準備を整えることで、気持ちに余裕が生まれます。

その余裕は、地域や友人とのつながりを大切にしたり、新しい趣味や活動に挑戦したりする力にもなります。二人で過ごしている今だからこそ、お互いを思いやりながら、そして一人になった時のことも少しずつ考えながら、準備を進めていきましょう。そうすれば、二人でも一人でも、穏やかで自分らしい老後を迎えることができます。

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監修

竹内義彦
竹内義彦一般社団法人 終活協議会 理事
1969年生まれ、大阪出身。
2012年にテレビで放送された特集番組を見て、興味本位で終活をスタート。終活に必要な知識やお役立ち情報を終活専門ブログで発信するが、全国から寄せられる相談の対応に個人での限界を感じ、自分以外にも終活の専門家(終活スペシャリスト)を増やすことを決意。現在は、終活ガイドという資格を通じて、終活スペシャリストを育成すると同時に、終活ガイドの皆さんが活動する基盤づくりを全国展開中。著書に「終活スペシャリストになろう」がある。

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