2023年12月3日

身寄りのない高齢者が終活でするべきことを業界関係者が解説

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現在、日本では都市部や地方を問わず、身寄りのない高齢者の数が増加しています。総務省が発表した「一人暮らしの高齢者に対する見守り活動に関する調査 結果報告書」によると、令和2年の65歳以上の高齢者は約3,900万人で、そのうち1人暮らしの高齢者は674万人(男性は231万人、女性441万人)になります。約23%(およそ4人に1人)の高齢者が一人暮らしをしており、今後も身寄りのない高齢者が増加すると予想されています。
終活についての情報を目にする機会も増えたことから、身寄りのない高齢者は終活に興味を持つ方が増えています。
そこで今回は、身寄りのない高齢者が終活を行なわない場合のリスクや、終活としてやるべき内容、終活を行う際の注意点を解説します。

身寄りのない高齢者が終活を行わない場合のリスク

身寄りのない高齢者が終活を行わない場合のリスクについて、詳しい内容を紹介します。

1:医療や介護に関する問題

突然の病気や事故の際、医療処置の希望、延命治療の意向など、本人の意志が明確に示されていないと医師や医療関係者が治療方針を判断することが困難となります。
また、日常のサポートが必要になった場合、適切な介護サービスを受けられない可能性も高まります。身の周りの世話など、必要に応じた介護やサポートを受けることが難しくなるでしょう。
これらの不安を考慮すると、身寄りのない高齢者が終活を行わないことで、将来的に医療や介護が必要となった際に困ることがわかります。そのため、医療や介護に関して自分の意思を反映するために、終活は必要な活動と言えるでしょう。

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2:財産の不適切な取り扱い

身寄りのない高齢者は、生前より相続人(被相続人より財産を受取る人)を明確にしておく必要があります。相続人を指定しなかった場合、被相続人の遺志が反映されずに相続が行われるケースもあります。
従って、終活を通じて相続に関する意向を明確にすることで、事前に相続トラブルを防ぐことに繋がります。

3:死後の手続きの不安

死後の手続きには公共料金の解約、葬儀の手続き、死亡届の提出、相続など多くの手続きがあり、身寄りのない高齢者にとっては、これらの手続きを誰に依頼するのか大きな懸念点になります。終活を通して死後の手続きの内容や依頼する相手を事前に明確化することで、死後の不安を軽減することができます。

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4:社会的な孤立

身寄りのない高齢者の多くは、地域や社会との繋がりが弱くなります。そのため、近所の人たちとの交流が少なく、生活の変化や健康状態の変化に気づくことが難しくなります。その結果、身体や心の不調、さらには孤独死のリスクや死後の発見が遅れる事にも繋がってしまいます。
終活を通して、地域や社会との繋がりを深めることは、社会的な孤立の緩和、安心して生活するための重要な活動と言えるでしょう。

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身寄りのない高齢者が終活でやるべきこと

身寄りのない高齢者が安心して人生の最後を迎えるために、終活としてやるべきことを紹介します。

1:エンディングノートの作成

エンディングノートは、生前から死後に渡り自分の意思や想いを書き留めておくことができるノートです。医療や介護に関すること、財産の管理方法、葬儀の希望、遺品整理、生前の思い出や伝えたいことなどを記載します。これにより、自分にもしものことがあっても、関係者が内容を確認することで適切に動くことができます。

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2:遺言書の作成

財産に関する死後の意向を伝えるためには遺言書の作成が必要となります。身寄りがなく、遺言書も存在しない場合、財産は国庫への帰属となりますが、遺言書を作成することで自分の意思で公益団体などに財産を寄付することが可能です。
遺言書は、財産に関する自らの意思を反映する重要なものとなります。

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3:葬儀やお墓に関する生前契約

身寄りのない高齢者は終活を通じて葬儀や納骨、お墓などの希望を伝えることができます。葬儀では形式や規模、予算についても明確にすることで、葬儀でのトラブルを回避することに繋がります。身寄りのない高齢者が増えている中で、生前に葬儀の内容や金額を決めておくケースも珍しくなくなり、お墓を建てておく生前契約を結べる事業者も多くあります。

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4:生前整理を行う

生前整理を通じて必要な物と不要な物を区別しておくことは、後の手続きをスムーズに進めるための準備になります。生前整理をしておくことで第三者への負担を軽減することにも繋がります。さらに、心の整理も一緒に行うことで、心身共に安定した生活を迎えることができるでしょう。

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5:本人の希望する医療を明示

身寄りのない高齢者は医療に関する希望を終活を通じて明示しておくことが重要です。 
自分が望む医療や最期などをエンディングノートに文書化することで、医療機関や関係者へ共有することができます。

6:死後事務委任契約を結ぶ

死後事務委任契約とは、死亡した後に発生する様々な手続きや業務を、第三者に委任する契約のことです。身寄りがないと、遺産分割や財産の処理、葬儀手配などの複雑な手続きを誰が行うのか不明確となり、手続きが滞るような問題が生じる可能性があります。死後の手続きをスムーズに進め、トラブルや混乱を防ぐことが期待できます。

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7:成年後見制度の手続き

成年後見制度とは、一人では十分な判断を下すことが難しくなった場合、公正な第三者が代わりに権利を守り、財産管理や生活全般のサポートを行う制度です。
身寄りのない高齢者は心身の機能が低下し、判断機能が衰えた際、日常生活を送ることさえ困難になります。そのため、成年後見制度を利用することで、身寄りのない高齢者も安心して余生を過ごすことができます。

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身寄りのない高齢者が終活を行う際の注意点

身寄りのない高齢者が終活を行う際の注意点は、エンディングノートの存在を知らせておくこと、第三者との信頼関係を築き上げること、終活詐欺や悪質なサービスに警戒することです。これらの内容を詳しく解説します。

1:エンディングノートの存在を知らせておく

身寄りのない高齢者の多くは、エンディングノートなどに自分の意思や希望を書き残しておくことが大切です。しかし、エンディングノートの保管場所が分からなければ希望を伝えることができません。そのため、見つけやすい場所に保管し、日常的に接触のある人や、信頼できる人にノートの保管場所を共有しておくことで、緊急時の際に役立ちます。実際にエンディングノートを玄関に置き、顔見知りの宅配業者に緊急時のお願いをしていたことで、緊急時に役立ったケースもあったようです。
ただし、財産情報や個人情報を記載しているエンディングノートの保管場所には注意が必要です。他人の手が届く場所に置くことで、トラブルに繋がる恐れもあります。そのため、財産や個人に関する情報は別のエンディングノートに記載し、金庫等に保管することがおすすめです。

2:信頼できる第三者の存在を探す

終活はやるべきことが多岐に渡る中で、自分一人で様々な対応や手続きをすることは非常に難しいです。
そのため、身寄りのない高齢者が自分の希望を実現するためには、信頼できる第三者の存在が欠かせません。
また、終活サービスを提供する事業者もあるため、信頼できる第三者が見つからない場合、そもそも何をすれば良いか分からない場合は、終活サービスを利用することも手段の一つです。
ただし、悪徳業者が存在するため、事業者を選定する際は注意が必要です。

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3:身寄りのない高齢者を狙う終活詐欺や悪質なサービスに警戒

終活をする過程で、悪徳業者に遭遇する可能性があります。
特に身寄りのない高齢者は相談先が限られることから、悪徳業者の標的となりやすい傾向にあります。住所不明、高額な年会費、財産開示を求めてくる事業者は悪徳業者である可能性が高いため十分に注意しましょう。

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身寄りのない高齢者が終活を行わない場合のリスクや、終活でやるべき内容、注意点について解説しました。
身寄りのない高齢者は終活に関する相談先が限られるため、円滑に終活が進まないことがあるかもしれません。そのため、終活を進める中でつまづいた際は終活サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか?
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監修

竹内義彦
竹内義彦一般社団法人 終活協議会 理事
1969年生まれ、大阪出身。
2012年にテレビで放送された特集番組を見て、興味本位で終活をスタート。終活に必要な知識やお役立ち情報を終活専門ブログで発信するが、全国から寄せられる相談の対応に個人での限界を感じ、自分以外にも終活の専門家(終活スペシャリスト)を増やすことを決意。現在は、終活ガイドという資格を通じて、終活スペシャリストを育成すると同時に、終活ガイドの皆さんが活動する基盤づくりを全国展開中。著書に「終活スペシャリストになろう」がある。

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